2013年12月26日木曜日

【清水和夫メールマガジン】第47号 アーカイブス 2012.11.25

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年11月25日 第47号
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日産の先進技術「ステアリング・バイ・ワイヤー」

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 前回アウディのワークショップに参加し、非常に感銘を受けた話を書きましたが、今回は日本も負けていないということで日産の先進技術を紹介したいと思います。日産から発表された驚きの次世代先進技術とは「ステアリング・バイ・ワイヤー」と呼ばれるステアリング技術です。わずかな時間でしたが、この技術が搭載されたプロトタイプのスカイラインに試乗したので報告したいと思います。

 “驚きの”と表現したのは、今までのどんなステアリング技術にも属さない新しい操縦感覚を覚えたからです。路面からの振動や路面の凹凸から来る面倒くさいステアリングの微修正がほとんど要らないので、ドライビングがずいぶんと楽になり、これまで真空管で聞いていた音楽が澄みきったハイファイ(High Fedelity)のオーディオで聞いているように快適なのです。まずはそのメカニズムから説明しましょう。

 そもそもバイワイヤーとは電子スロットルやリーフなどで採用する機械式ではなく、メカトロ的な機構を言います。すでに多くのクルマが採用する電子スロットルはアクセルペダルにはドライバーの操作を検出するスロットルポジションセンサーがあり、この情報がECU(コンピューター)を介して、エンジン側に装備された電気モーターに伝わります。ドライバーとスロットルは電気信号でつながっているのです。

 バイワイヤーブレーキも同じような原理で作動します。2000年に発表されたトヨタ・エスティマ・ハイブリッドが世界初のバイワイヤーブレーキでしたが、その後トヨタ・プリウスが追従し、メルセデス・ベンツもSBCという名前でEクラスとSLクラスに普及させました。しかし、メルセデスのSBCは構造上の問題から大リコールとなり姿を消してしまいました。バイワイヤーは電気的な制御が主流となるので信頼性がとても重要です。そこで日産は三つのECUを使い、航空機並みの信頼性を確保しているのです。

 実際のメカニズムを見てみるとステアリングホイールからはステアリングシャフトがクラッチを介してラック&ピニオンまで伸びています。「バイワイヤーではないのでは?」と思いますがこのシャフトはメカニカルなバックアップシステムとして存在しているのです。万が一電気系統に問題が生じるとクラッチがつながり、通常の電動パワーステアリングとなるわけです。

 動作原理はステアリングホイールの後ろに小型モーターが配置され、ドライバーのステアリング操作を検知しながら、ステアリングの手応えを人工的に作り出すものです。モーターからの信号は三つのECUに送られ、操舵の速さと量を計算し、ラックの両サイドに取り付けられた二つの駆動モーターでラックギアを動かす仕組みです。

 実際にノーマルとバイワイヤーのステアリングを持つ二台のスカイラインをテストしてみました。限られたコースで短い時間だったため詳細にはリポートできませんが、直感的には真空管からトランジスタへの進化ではないでしょうか。荒れたワダチ路を走っても、ステアリングへのキックバックがなく、非常にスムーズにタイヤがワダチを乗り越えます。つまり、万が一修正するときも、ごくわずかにステアリングを操舵するだけで済むのです。

 直進走行では半チューブ上の道路を走っているように、ストレスなくまっすぐ走ることができます。試しに白線の上をタイヤでトレースしてみました。ノーマルのステアリングでは集中力を高めて走らないと白線をトレースすることは難しいが、バイワイヤーステアリングならとても簡単です。慣れない人でもリンゴの皮を薄く切ることができる優れた道具のようです。

 路面からのフィードバックはどうなっているのか?とシステムを開発した担当者に聞くと、タイヤで発生する外乱からの力はモーターで微細に検知できるので、むしろバイワイヤーのほうが、フィードバックしやすいそうです。従来のステアリングシステムでは内在するヒステリシスロスで路面情報が消滅していたのです。車両のスポーツとノーマルモードを切り変える制御でステアリングギア比を可変することもできます。これも電子制御の成せる技です。

 先進技術として位置づけられるステアリング・バイ・ワイヤーは日産が1980年代から開発してきたハイキャス(4WS)がその先がけとなっています。その後R35スカイラインではアクティブ4WSまで行きつきましたが、タイヤの操舵手法を機械式から電気式に進化したのが、本システムの根っ子の技術といえます。ステアリング・バイ・ワイヤーはレーンキープシステムや緊急危険回避支援などとリンクすることで、前後左右とパノラマ的なセイフティシールド(2004年に発表した日産の安全思想)が構築できそうです。

 安全だけでなく、日産独自のダイナミクスと走り味も作る──永遠のテーマであった快適性と安全性と愉しい走りの両立がこのシステムで実現可能となったのです。私が真空管からハイファイへ進化したと思ったのは、そんなポテンシャルを感じたからです。

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【DST#048】ホンダN Box Gカスタム・ターボパッケージ vs フォルクスワーゲン・ハイ・アップ! / HONDA Nbox G Custom Turbo Package vs VOLKSWAGEN high up!(加減速篇)(8分21秒)
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潜入!白バイ安全運転競技大会 / Police Motorcycle Competition in Japan(2分50秒)
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着実にディーゼルラインナップを増やすBMW / BMW X5 xDrive35d BluePerformance(4分58秒)
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2013年12月11日水曜日

【清水和夫メールマガジン】第46号 アーカイブス 2012.11.10

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年11月10日 第46号
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アウディが提案した次世代エネルギーの戦略

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 この秋に開催されたアウディのワークショップを取材しました。そこで新しいエネルギーに関する重要な技術が発表され、非常に感銘を受けましたのでリポートしたいと思います。

 世界中で脱石油を摸索する動きが活発化していますが、再生可能なエネルギーの実用化にはまだ多くの課題が山積しています。次世代車と呼ばれる自動車は電気や水素などの再生可能なエネルギー、あるいはガスエネルギーやエタノールなどバイオマスも期待されていますが、CO2換算すると、はたしてどこまで効率が高いのか疑問も残ります。

 しかし今回アウディが提案した「e−fuel」コンセプトは、次世代エネルギーの戦略に重要なヒントを投げかけているように思えました。アウディの先進技術はもはやクルマというハードウェアに留まらず地球の未来を見据えているのではないでしょうか。

 アウディe−fuelコンセプトは大きくわけて二つのプロセスがあります。その一つは「e−gass」と呼ばれる合成天然ガスです。日本では天然ガスを使う乗用車は珍しいですが、海外ではすでに普及している国や地域もあり、脱石油の有力なエンジンとみなされています。

 燃料は都市ガスと同じメタンガス「CH4」なので、一つの炭素原子と四つ水素原子で構成するシンプルな元素です。アウディはこのメタンガスを風力や太陽光発電で得られるクリーン電力から人工的に作るプロセスを発表しました。

 実はこの技術は2011年5月に、ドイツ・ベルリンで開催されたミシュランのチャレンジ・ビバンダムというエコカーイベントでワールドプレミアされました。当時私は技術審査委員だったので、アウディの関係者からプレゼンテーションを受けました。その時は実証実験はまだ始まっていませんでしたが、今回のワークショップでは北ドイツ実験プラントが建設中であると説明がありました。

 風力や太陽光発電を実行するのはそう簡単ではありません。電気の需要があるときに発電をするとは限らないからです。まさに自然まかせの電力といえるでしょう。そこで、バッテリーではなく、もっと大量に電気を蓄える技術が必要となりました。

 じつは水と電気を使って電気分解で水素を作ると、水素を「電気の入れモノ」として利用できます。さらに工場などで発生した二酸化炭素「CO2」を水素と合成することでメタンCH4を作るプロセスがこの仕組みの肝となっています。「電気→水素→メタンガス」というプロセスが成り立つのです。

 つまり、このシステムによってEVや水素燃料電池車やCNG車が利用できる多様なエネルギーグリッドが完成するのです。ここで重要なことはエネルギーの総合効率は井戸からタイヤまでを意味する「Well−to−Wheel」という計算法がありますが、さらにクルマの製造時の効率「LCA(Life Cycle Assessment)」を加味する必要があるということです。

 「電気→水素→メタンガス」というプロセスで走るCNG車とガソリンエンジン車を比較すると、アウディのCO2換算の試算では普通のガソリン車は「Well−to−Wheel」で138g/km、製造時に30g/kmのCO2が発生するので、合計では168g/kmというCO2換算となります。

 ところが「e−gass」でCNG車を計算するとCO2をトラップしてメタンガスを作るので「Well−to−Wheel」は28g/km、製造時の33g/kmと合わせても61g/kmのCO2となります。自然エネルギーで発電してEVを走らせると、製造時の51g/kmと発電時の3g/kmを合わせて54g/kmとなるが、CNG車との差はごくわずかとなります。電気しか見ていないとこうした発想は気がつかないでしょう。

 アウディの研究者にCO2をトラップしてストレージするCCSは?と聞くと、ドイツでは「CO2を次の世代に先送りしている」として反対意見が少なくありません。トラップしてもCO2を捨てるだけでは脳がないので、CO2を循環するエネルギーシステムが根本的な考え方としています。

 「e−fuel」のもう一つのプロセスはもっと凄いものです。アメリカのジュール「Joule」というベンチャー企業と共同研究するプロジェクトで、人工的に光合成を行うという夢のようなエネルギーを研究しています。ちなみにジュールというのはエネルギーの物理単位として使われていますが、イギリスの物理学者の名前に由来しています。

 この研究では生命の源となった微生物を使い、水とCO2と太陽光でエタノールや合成ディーゼルを作りだすというものです。このプロセスのメリットは化石燃料もバイオマスも使わない点です。したがって食物を使わないですみます。アウディの研究者からこの微生物は地球でもっとも古い生物と聞いて驚きました。そんな微生物が太陽の光を借りて、水とCO2からモビリティが使えるエネルギーを作ってしまう──なんとも神秘的ではありませんか。

 しかも光合成で作られるディーゼル燃料のセタン価(燃えやすさ)は石油由来のディーゼル燃料の二倍もあるといいます。アウディは品質の悪いアメリカのディーゼル燃料に混ぜることで、クリーンディーゼル車の普及を考えています。

 同じプロセスでエタノールも作れます。酸素と水素と炭素原子の組み合わせでディーゼル燃料が作られますが、ウイスキーのようなアルコールからエタノールが作られます。現在、エタノールはブラジルで使われる乗用車の主力燃料ですが、サトウキビやトウモロコシから作ると食物問題が気になるところです。しかし、合成エタノールなら原料が水とCO2なので問題はありません。

 「Well−to−Wheel」と「LCA」を考慮しながらこのシステムで総合効率を計算すると、アメリカで従来のディーゼル車を走らせた場合よりも、最大で80%のCO2を削減できるそうです。この数字は太陽光発電でEVを走らせた時のCO2は排出と同じレベルとなります。

 実証実験プラントは太陽が降り注ぐニューメキシコ州のホッブスという町に建設中です。計画では2013年にはデモンストレーションプラントが完成し、2014年から商業化が始まります。アウディの先進ディーゼル車はこの新しい合成ディーゼル燃料が使えるというわけです。

 こうしてアウディの「e−fuel」では電気、水素、合成メタン、合成ディーゼル、合成エタノールと文字通りエネルギーの多様化が実現できます。ここで使える次世代車は「EV、燃料電池車、CNG車、ディーゼル車、エタノール車」と多様です、自動車もエネルギーも多様化するが、CO2が循環できるCO2フリーのシステムに大きく近づくことができます。

 今回のアウディのエネルギーに関するビジョンは感動的ですらありました。自然に学ぶことで我々はもっと大きく進化することができると思いました。微生物や植物の営みには、とてつもないポテンシャルが秘められているのではないでしょうか。

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【DST#047】メルセデス・ベンツSL350ブルーエフィシェンシィ vs ポルシェ・ボクスターS / MERCEDES-BENZ SL 350 Blueefficiency vs PORSCHE Boxster S(加減速篇)(7分36秒)
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【DST#047】メルセデス・ベンツSL350ブルーエフィシェンシィ vs ポルシェ・ボクスターS / MERCEDES-BENZ SL 350 Blueefficiency vs PORSCHE Boxster S(ハイスピードライディング篇)(5分48秒)
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【DST#047】メルセデス・ベンツSL350ブルーエフィシェンシィ vs ポルシェ・ボクスターS / MERCEDES-BENZ SL 350 Blueefficiency vs PORSCHE Boxster S(ダブルレーンチェンジ篇)(5分39秒)
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【DST#047】メルセデス・ベンツSL350ブルーエフィシェンシィ vs ポルシェ・ボクスターS / MERCEDES-BENZ SL 350 Blueefficiency vs PORSCHE Boxster S(ウエット旋回ブレーキ篇)(4分41秒)
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パリで208ディーゼルを試す 1 / PEUGEOT 208 Feline 1.6L e-HDi"115"(6分59秒)
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パリで208ディーゼルを試す 2 / PEUGEOT 208 Feline 1.6L e-HDi"115"(6分39秒)
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フォルクスワーゲンの最速FF? / VOLKSWAGEN Scirocco R(9分0秒)
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ニッサンの先進技術2012 ?@ / NISSAN Advanced Technology 2012 (9分27秒)
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ニッサンの先進技術2012 ?A / NISSAN Advanced Technology 2012(8分34秒)
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ニッサンの先進技術2012 ?B / NISSAN Advanced Technology 2012 (10分16秒)
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サルーンの車内でV12の咆哮を聞く / ASTON MARTIN Rapide(10分13秒)
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2013年11月26日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第45号 アーカイブス 2012.10.25

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年10月25日 第45号
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マツダ期待の新型アテンザ試乗記

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 今回はマツダから待望の最新スカイアクティブが登場したのでそれについて書きたいと思います。こうして年末が近づいてくると、2012年とは新生マツダの復活の年と思えてきました。起死回生のスカイアクティブ・テクノロジーが怒濤のごとく打ち寄せています。特にスカイDという愛称が定着したクリーンディーゼルの第二弾としてアテンザが市販されることになったことが大きいでしょう。CX−5のプラットフォームを流用しているとはいえ、アテンザには新たなテクノロジーも採用されているのです。

 アテンザはマツダの最上級車種でセダンとワゴンで構成されます。残念ながらクーペやオープンカーはありませんが、いずれはラインナップを揃えてくれればと思います。さて、日本では大きなセダン、ワゴンが売りにくいと考えるメーカーも少なくありません。しかし必ずしも大きなセダン、ワゴンが売れないとは言えません。早い話がクルマとして魅力があるかどうか、そこが肝心なのです。

 それではアテンザの魅力とはいったいどこにあるのでしょうか。ディーゼルは魅力的です。CX−5と同じくトルクは420Nm。4リッターV8エンジン並のトルクです。しかし1.5リッタークラスの燃費で走れます。CX−5からは大きな変更点はあまりありませんが新たにキャパシタ(大きなコンデンサー)を使い、オルタネーターの回生エネルギーで電気を回収できるようになりました。

 また、ガソリンエンジンは2.5リッターのスカイGが初登場しました。CX−5は国内販売の80%がディーゼル車だそうです。予想以上のディーゼル人気にマツダも戸惑っています。ディーゼルが売れすぎると収益が圧迫するのは、ドイツメーカーも経験ずみです。日本で今までディーゼルが売れなかったのは価格も含めて魅力的なディーゼル車がなかったからなのです。

 いっぽうCX−5のディーゼル人気が高いのは、スカイGの魅力が足りないとも言えます。そこでマツダは2.5リッターのスカイGを開発し、トルク不足を補っています。その結果、アテンザで初登場の2.5リッターのスカイGはディーゼルとのトルク差を縮めて、スカイGの逆襲が始まったとも言えます。

 その2.5リッターのスカイGについてレポートしましょう。このエンジンは高圧縮のガソリンで188ps/5700rpm、25.5kgm/3250rpmのパワーとトルクを発生します。2リッターのスカイGは155ps/6000rpm、20.0kgm/4000rpmなので、この500ccは大きな違いだと感じました。最大トルクが25%も向上しましたが、発生回転数は750回転も低い──つまり、ムキになってアクセルを踏まなくても余裕で加速できるし、回転が低いので静かで燃費もいいのです。
 箱根ターンパイクの登りでは差は明らかでした。2リッターはアクセルを目一杯踏みこんで走りますが、エンジン回転が高いため、少しうるさく感じました。しかし、2.5リッターなら一つ低いギアを使うことができるので快適です。この2.5リッターのスカイGはCX−5にも欲しいくらいです。

 ギアボックスはATとMTが用意されますが、MTよりも四駆を用意すべきではないでしょうか。セダンとワゴンという異なるライフスタイルを提案するなら、ワゴン+四駆は必需品と思います。まして、スカイDという魅力的なディーゼルが組み合わされると、アテンザの販売はさらに強化できるでしょう。

 2.2リッターディーゼルはCX−5と同じですが、後から出てくるほどATなどのチューニングが進み、CX−5で気になっていたトルコンATの段付き感がある加速が改善されていました。ディーゼルの場合、DPFの関係でエンジンが止まりにくいことがありましたが、アテンザでは一歩改善されたようです。しかし、ディーゼルの加速は気持ち良さは相変わらずです。ATでもMTでも、ディーゼルはマツダのキラーコンテンツとなってきたと思いました。

 環境面ではオルタネーター回生を積極的に利用できる「ELOOP」と呼ばれるキャパシタが登場しました。キャパシタとは聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと電気を絶縁体の部屋に閉じ込める電気の貯金箱です。リチウムのような二次バッテリーは電気を化学的に出し入れするのでその容量は大きいですが、出し入れのスピードは遅いといえます。その一方でキャパシタは電気を物理的にトラップするので、容量が小さいが出し入れは早いのです。効果は燃費換算で10%前後と大きなメリットがあります。加速時はクラッチを使い、オルタネーターは機能しません。その分エンジンの抵抗は減るわけです。

 ところで、今回のアテンザのパッケージの妙味はワゴンとセダンでホイールベースを変えるなど、それぞれのニーズに合わせて最適化されていることです。セダンは後席にゆったりと座ってもらうために、ホイールベースはワゴンよりも長くしました。そのぶん、全長もセダンのほうが長いのです。しかしワゴンはラゲッジスペースを広くするために、リアタイヤの位置を前方に80mm移動しました。そのためにリアサスペンションのでっぱりが奥に移動したので、荷室は使いやすくなりました。さらに大人が四人乗っても車高変化が少ないのもワゴンとしての基本を抑えています。

 全長4860mm/4800mm(セダン/ワゴン)のサイズは日本では少し大きすぎますが、プレミアムブランドとしては通用するでしょう。CX−5よりも上質なインテリアを持つアテンザこそ、マツダのフラグシップに恥じない完成度であると思いました。

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【DST#046】スバル・WRX STI specC 4ドア vs ルノー・メガーヌRS / SUBARU WRX STI spec C vs RENAULT Megane R.S.(加減速篇)(7分5秒)
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【DST#046】スバルWRX STI specC 4ドア vs ルノー・メガーヌRS / SUBARU WRX STI spec C vs RENAULT Megane R.S.(ダブルレーンチェンジ篇)(4分26秒)
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【DST#046】スバルWRX STI specC 4ドア vs ルノー・メガーヌRS / SUBARU WRX STI spec C vs RENAULT Megane R.S.(ウエット旋回ブレーキ篇)(4分46秒)
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【世界のモーターショー】パリ・サロン2012 1 / 2012 Paris mondial de l'automobile(6分57秒)
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【世界のモーターショー】パリ・サロン2012 2 / 2012 Paris mondial de l'automobile(6分19秒)
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【世界のモーターショー】パリ・サロン2012 3 / 2012 Paris mondial de l'automobile(6分14秒)
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【世界のモーターショー】パリ・サロン2012 4 / 2012 Paris mondial de l'automobile(7分40秒)
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メルセデス・ベンツE300ブルーテック・ハイブリッド国際試乗会 / MERCEDES-BENZ E300 BlueTEC Hybrid(3分14秒)
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Kaz & Yoshi Drivers School / カズ&ヨッシードライバーズスクール 1(10分43秒)
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Kaz & Yoshi Drivers School / カズ&ヨッシードライバーズスクール 2(8分45秒)
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Kaz & Yoshi Drivers School / カズ&ヨッシードライバーズスクール 3(6分54秒)
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【Start Your Engines Chronicles 2001】ボルボV70クロスカントリー対スバル・レガシィ・ランカスター6比較インプレッション / VOLVO V70 vs SUBARU Legacy Lancaster 6(10分52秒)
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【Start Your Engines Chronicles 2001】スバル安全哲学を聞く / Subaru's safety philosophy(7分38秒)
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2013年11月13日水曜日

【清水和夫メールマガジン】第44号 アーカイブス 2012.10.10

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2012年10月10日 第44号
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清水和夫が教える本当の安全運転テクニック 最終回

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 今回は全体を俯瞰した安全運転テクニックについて書きます。

第四条:交通の流れの先を見て走ろう

 一般道の走り方はクルマの流れを読むことが肝心です。違法駐車のクルマやバス専用レーンなどで思うように走れない道路はたくさんあります。

 朝夕は渋滞するため、多くのドライバーがイライラしてハンドルを握っています。車間距離を空けすぎると割り込まれるし、詰めすぎると追突のリスクが増えます。スムーズに走るコツは、なるべく一定のスピードで走ることです。

 加速を続けて、前車との距離が縮まったので、ブレーキを踏む──そのような
運転は後ろのクルマが走りにくくなります。スーッと加速し、アクセルペダルを操作するだけで交通の流れに乗るようにしましょう。アクセルは踏むだけでなく、戻す時も半分戻すなどの微妙なコントロールを覚えましょう。

 とはいえ目の前の車だけみていては、目の前の車のペースになってしまいます。交通の
流れを読むには目線を前のクルマの2〜3台先まで見るといいでしょう。信号が黄色になったら早めにブレーキをかけ、ブレーキランプを点灯させます。止まる意志表示が大切です。

 日本では多くのドライバーが「黄色は安全確認して交差点を通過」する人が多い。
しかし原則としては止まる準備しなければなりません。

 日本の場合、なぜ交差点の停止線で止まれないのでしょうか? 理由は進行方向の信号機が交差点の先に設置されているためです。信号機と停止線がずれていることがドライバーが混乱する原因といえます。一方の欧州では停止線の位置に信号があるので、ここで止まれという意志が明確に伝わります。

まとめ:大切なのは状況判断

 以上、安全運転の心構えとして重要なポイントを述べましたが、安全運転はクルマの操縦というスキルや感覚が支配する領域と、状況判断という頭脳が支配する領域があります。この二つの領域をバランスよく使うことが重要です。最近のクルマは操作しやすくなってきているので、むしろ状況判断に重みを置く運転を心がけたいものです。

 最後に10月3日にわれわれが開催したドライバーズスクールに参加した方のコメントをご紹介します。今回は参加車両にスポーツカーが多かったこともあり、上記のうち車の操縦に重きを置いた内容となりました。上級者と初心者ですが、同じスクールを受講してもわれわれインストラクター陣はそれぞれのレベルに応じたレッスンをしますのでまったく違う感想を持っています。

【上級者】
清水先生おはようございます。昨日はありがとうございました。車が自分の操作により、曲がりやすくなったり、アンダーでまがらなくなったり体験で来て繊細な操作をもっと鍛えなければとおもいました。ありがとうございました。

【初心者】
本日は、ドライビングスクールにてたいへんお世話になりました。もっともできの悪い生徒ですみませんでした。。。。でも、それぞれのクルマの限界を知り、挙動を予測することができれば、安全性も高まることが十分に体感できました。なんだか、クルマを運転することへの認識が、変わりました。相当狭い認識だったというわけですが、「モビリタ」ではここまで思うことはなかったです。本当にありがとうございました。

 トヨタ86で参加された方がいましたが、ヒール&トゥが操作しやすいようにペダルを改造していました。でも、本来のテクニックを覚えずに、ペダルを改造したので、強いブレーキを踏むとアクセルも同時に踏んでいました。本人は気がついていなかったみたいです。部品改良の前に正しいテクニックを身につけましょう。

 自分で練習する人がいますがなんど走っても間違った走り方を習得するだけです。正しい知識とスキルを覚えましょう。86でアンダーステアを消すために、サイドブレーキでドリフトするドライバーがいました。恥ずかしいからやめましょう。ステアリングとブレーキとアクセルだけでアンダーを出さずにドリフトできるテクニックを教えました。

 実はベテランほど重症です。車庫入れからドリフトまで教えます。下記ページからお申し込みできます。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

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【DST#045】スバル・レガシィ・ツーリングワゴン2.0GT DIT vs アウディA4アバント2.0TFSIクワトロ / SUBARU Legacy Tourungwagon 2.0GT DIT vs AUDI A4 Avant 2.0TFSI Quattro(加減速篇)(6分19秒)
http://www.startyourengines.net/dst/2012/10/dst04520gt_dit_vs_a420tfsi_sub.php

【DST#045】スバル・レガシィ・ツーリングワゴン2.0GT DIT vs アウディA4アバント2.0TFSIクワトロ / SUBARU Legacy Tourungwagon2.0GT DIT vs AUDI A4 Avant2.0TFSI Quattro(ハイスピードライディング篇)(4分11秒)
http://www.startyourengines.net/dst/2012/10/dst04520gt_dit_vs_a420tfsi_sub_1.php

【DST#045】スバル・レガシィ・ツーリングワゴン2.0GT DIT vs アウディA4アバント2.0TFSIクワトロ / SUBARU Legacy Tourungwagon 2.0GT DIT vs AUDI A4 Avant 2.0TFSI Quattro(ダブルレーンチェンジ篇)(5分15秒)
http://www.startyourengines.net/dst/2012/10/dst04520gt_dit_vs_a420tfsi_sub_2.php

【DST#045】スバル・レガシィ・ツーリングワゴン2.0GT DIT vs アウディA4アバント2.0TFSIクワトロ / SUBARU Legacy Tourungwagon 2.0GT DIT vs AUDI A4 Avant 2.0TFSI Quattro(旋回ブレーキ篇)(6分33秒)
http://www.startyourengines.net/dst/2012/10/dst04520gt_dit_vs_a420tfsi_sub_3.php

CARトップ 筑波サーキットテスト2012夏 / CARTOP Tsukuba Circuit Test 2012 Summer(8分59秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/09/003051.php

富士山ご来光登山で考えた-清水和夫- / Mt.Fuji climbing (6分29秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/09/003056.php

BMW6シリーズ・グランクーペ国際試乗会 / BMW 6er GranCoupe(4分54秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/09/003054.php

スカイアクティブDを出雲で試す / MAZDA CX-5 XD (10分19秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/09/003053.php

レンジローバー・イヴォーク 北の大地を行く / RANGE ROVER Evoque (9分13秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/10/003059.php

フォルクスワーゲン アップ日本上陸!! / VOLKSWAGEN up! (5分31秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/10/003060.php

メルセデス・ベンツGクラスAMG、GLKクラスAMG国際試乗会 / MERCEDES-BENZ G63 AMG, GLK63 AMG(4分59秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/10/003057.php

アウディが誇るカッコと走りを両立する4WDクーペ / AUDI A5 Coupe(3分47秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/10/003062.php

【Start Your Engines Chronicles 2001】メルセデス・ベンツCクラスステーションワゴン国際試乗会〜エステートと呼ばれて〜 / MERCEDES-BENZ C class station wagon(6分18秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/09/003055.php

【Start Your Engines Chronicles 2001】BMW3シリーズ対スバル・レガシィ比較インプレッション / BMW 3 Series vs SUBARU Legacy B4 (10分52秒)
http://www.startyourengines.net/video/2012/10/003065.php

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2013年10月25日金曜日

【清水和夫メールマガジン】第43号 アーカイブス 2012.9.25

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年9月25日 第43号
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清水和夫が教える本当の安全運転テクニック 第2回

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 今回も前回に続き実践的な安全運転テクニックについて書きます。

第二条 ドライブ前に事前チェック

 すべての準備が整いました。いよいよ出発です。しかし、ちょっと待ってください。移動スケジュールや目的地の詳細、天候状態などを把握していますか? もしも移動中に早朝や夕方を迎えるなら、ヘッドライトを早めに点灯しましょう。最近、夜間無灯火のクルマが増えています。LED照明のメーターやカーナビは、周囲が暗いほどよく見えるので、ヘッドライトの点灯を忘れがちなのです。昔のクルマなら周囲が暗くなるとメーターが見えにくくなるので、ヘッドライト点灯のタイミングが把握できましたが、最近はその逆となっています。

 欧州ではLEDを使ったデザイン的にも格好良いポジションランプをデイライトの代わりに使うクルマが増えていますが、日本では認可されていません。デイライトはオートバイが使うので、混乱するというのが反対派の理由なのですが、LEDのポジションライトならオートバイと差別化できます。これはそろそろ規制緩和しても良い時期でしょう。

 ヘッドライトを点灯して、自車の位置を周囲にクルマや歩行者や自転車に知らせることは予防安全上重要なことです。もちろん視界が悪い雨ならなおさらでしょう。ヘッドライトの点灯は安全のスイッチだと思いましょう。

 もし、遠方まで運転して行くなら、カーナビに目的地を入力するだけでなく、携帯電話やスマートフォンで事前に交通情報をゲットしておきましょう。JARTIC(日本道路交通情報センターURL<http://www.jartic.or.jp/>)なら渋滞予測を知ることもできます。もしも近場にクルマで行く時はカーナビは必要ありませんが、走り慣れた道路という油断は禁物です。歩行者の交通事故は生活道路で多く発生しているのです。幹線道路にでるまでは慎重に走りましょう。時間や日時で人々のライフスタイルが変化するので、生活道路は歩行者優先であることを肝に命じましょう。

第三条 ヒヤリ&ハット

 最近はドライブレコーダーが普及し、実際に車内から撮影したヒヤリ&ハットの映像を見ることができます。この映像を見て驚くのは、ヒヤリ&ハットは極めて日常的に起きていることです。クルマ同士の衝突ならシートベルトが身を守ってくれますが、もしも相手が歩行者なら低い速度でも大怪我となる可能性があります。

 その原因の多くはドライバーの不注意で片づけられてしまいますが、実際は交差点に無用な看板類が歩行者の存在を邪魔していたり、樹木が育ちすぎてドライバーの視界を遮っているケースも少なくありません。明らかに道路管理側の問題もありますが、交通事故はドライバーの不注意とスピードの出し過ぎという二つの原因だと決めつけていることも問題です。これではいつまで経っても日本のモビリティ社会は進歩しないでしょう。

 ヒヤリ&ハットの映像を見ていてわかったことは、自転車や歩行者はもやはクルマの存在など無視しているということです。アメリカでは若者がスマートフォンを使いながらクルマ運転したり、横断歩道を渡ったりするケースが増え、若年層の事故が急増しています。アメリカ政府は警告を発していますが、なかなか問題は解決しない。日本でも同じようなことが起きているので、ドライバーは教習所で習うような教科書的安全運転だけでは事故を防げません。

 交差点で左折するとき、自転車の巻き込みや交差点内に歩行者や自転車が急に飛び込んでくる場合があります。周囲を何回も見回し、安全確認が必要です。そして少なくとも交差点は加速せずに時速10キロくらいで走るようにしましょう。

 次回最終回はまとめとして総論を書きたいと思います。

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【DST#番外篇】2011年加速減速トップ10、1位〜3位 / 10 best Acceleration and Braking (5分17秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/09/dst20111013_10_best_accelerati.php

【DST#番外篇】2011年加速減速トップ10、4位〜6位 / 10 best Acceleration and Braking (4分48秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/09/dst20111046_10_best_accelerati.php

【DST#番外篇】2011年加速減速トップ10、7位〜10位 / 10 best Acceleration and Braking (6分38秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/09/dst201110710_10_best_accelerat.php

フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(1) / VOLKSWAGEN e-mobirity (10分13秒)
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フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(2) / VOLKSWAGEN e-mobirity (12分2秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003014.php

フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(3) / VOLKSWAGEN e-mobirity (9分25秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003015.php

フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(4) / VOLKSWAGEN e-mobirity (10分14秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003016.php

日産の誇るリーズナブル・スーパーカー / NISSAN GT-R Black edition(7分19秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/002996.php

収納上手のSUV / CHEVROLET Captiva(6分28秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003030.php

マクラーレンで目指した鳥取砂丘(前篇) / McLAREN MP4-12C (10分11秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003032.php

マクラーレンで目指した鳥取砂丘(後篇) / McLAREN MP4-12C (5分4秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003033.php

メルセデス・ベンツAクラス国際試乗会とCLSシューティングブレーク発表会 / MERCEDES-BENZ A-Class CLS ShootingBreak(3分25秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003035.php

日常の足としてみたポルシェ911ターボ / PORSCHE 911 Turbo(11分21秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003043.php

メルセデス・ベンツ極秘インタビュー / MERCEDES-BENZ Interview(23分59秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003034.php

【Start Your Engines Chronicles 2001】トヨタのジミーセダン、ブレビス / TOYOTA Brevis(11分21秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003044.php

【Start Your Engines Chronicles 2001】メルセデス・ベンツMクラス国際試乗会2001 / MERCEDES-BENZ M Class(7分37秒)
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2013年10月12日土曜日

【清水和夫メールマガジン】第42号 アーカイブス 2012.9.10

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年9月10日 第42号
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清水和夫が教える本当の安全運転テクニック 第1回

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 私はドライビングスクールのインストラクターとして、かれこれ30年近い経験を持っています。アマチュアレーサー向けのサーキット走行から、ママさんドライバー向けの市街地での安全運転まで、幅広い層に向けてレッスンをしてきました。スクールの目的や生徒の技量、経験は異なっているものの、教えるたびにクルマの運転は実に奥が深いと痛感させられます。

 今回から数回にわたりこのメールマガジンで安全運転テクニックをお伝えしていきます。初心者でも役にたつ実践的な安全運転のポイントをわかり易く解説していきます。具体的なテクニック論はいずれあらためて紹介したいと思います。メールの後半に実技で教えるスクールの案内を記しますので興味があるかたはぜひお申し込みください。

第一条 リスクを知ること

 まず第一条として取りあげたいことは「安全」という言葉に翻弄されないことです。理論的にも統計的にも100%の安全は存在しません。人はミスをするし、機械はいつか壊れます。そのことを理解した上で、自分とクルマに迫るリスクを想定することが安全運転の第一条です。

 しかし、現実の「モンスター」ユーザーはみなステレオタイプで100%の安全を求め、わずかなミスも許しません。従って交通事故の調査は、加害責任に重みがおかれる傾向にあります。ところが欧米ではもっと実践的に交通事故を考えています。事故は起きるものという前提で、社会システムが構築されているためです。その一つの表れが欧米の救命体制に見ることができます。

 事故調査も「どうしたら被害を低減できたのか」を優先して考えていますし、重大な事故原因に関しては、真実が得られるなら責任は問わないという司法制度も存在します。それには工学的かつ医学的な事故調査が不可欠であることは言うまでもありません。

 このような事故に対する考え方から導かれることは「事前に事故を想定しておくこと」です。その意味では、衝突を前提とする現代の自動車にとって、シートベルトは安全運転の第一歩なのです。レーシングドライバーでシートベルトを装着しないで走るドライバーは一人もいません。なぜでしょうか? レーシングドライバーはクラッシュしてもベルトで生存率が高まることを知っているからです。

 さあ、クルマに乗り込んだら何をしますか? まず、エンジンをスタートし、シートポジションとミラーの位置を合わせます。ギアを一速に入れる前にシートベルトを装着しましょう。ベルトに手をかけることで自分自身の安全運転のスイッチを入れるイメージをしましょう。

 最近交通事故は減少しているとはいえ、日本で一年間に交通事故で死傷する人は70万人もいます。この数字は被害者だけですが、事故の当事者はもっと多いでしょう。ハンドルを握ろうが、助手席に座ろうが、クルマに乗る頻度が多い人や、クルマが行き交う街を歩く人はどうしても事故に遭遇する確立が高くなります。事故は防げると考えるよりもいつ遭遇するかわからないので、事故に備える覚悟が必要ではないでしょうか? 現代の交通事故からサバイバルしたいなら、そのくらいの覚悟が必要なのです。

 次回は出発準備を整えて実際に走り出すところまでの注意点について書きたいと思います。

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【DST#044】レンジローバー・イヴォーク・クーペ・ダイナミック vs BMW X3 xDrive20i(加減速篇) / Range Rover Evoque Coupe Dynamic vs BMW X3 xDrive20i(6分57秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/09/dst044_vs_bmw_x3_xdrive20i_ran.php

【DST#044】レンジローバー・イヴォーク・クーペ・ダイナミック vs BMW X3 xDrive20i(ハイスピードライディング篇) / Range Rover Evoque Coupe Dynamic vs BMW X3 xDrive20i(4分47秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/09/dst044_vs_bmw_x3_xdrive20i_ran_1.php

【DST#044】レンジローバー・イヴォーク・クーペ・ダイナミック vs BMW X3 xDrive20i(ダブルレーンチェンジ篇) / Range Rover Evoque Coupe Dynamic vs BMW X3 xDrive20i(5分42秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/09/dst044_vs_bmw_x3_xdrive20i_ran_2.php

【DST#044】レンジローバー・イヴォーク・クーペ・ダイナミック vs BMW X3 xDrive20i(旋回ブレーキ篇) / Range Rover Evoque Coupe Dynamic vs BMW X3 xDrive20i(6分4秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/09/dst044_vs_bmw_x3_xdrive20i_ran_3.php

フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(1) / VOLKSWAGEN e-mobirity (10分13秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003004.php

フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(2) / VOLKSWAGEN e-mobirity (12分2秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003014.php

フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(3) / VOLKSWAGEN e-mobirity (9分25秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003015.php

フォルクスワーゲングループのEモビリティ戦略(4) / VOLKSWAGEN e-mobirity (10分14秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003016.php

サーキットでレクサスGSラインナップを試す / LEXUS GS(7分17秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002992.php

東日本大震災に学ぶ(前編) / Japan Disaster(7分50秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002994.php

東日本大震災に学ぶ(後編)/ Japan Disaster(9分37秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002995.php

【Start Your Engines Chronicles 2001】スバル・トラヴィックプレス試乗会-レディースインプレッション- / SUBARU Traviq(10分35秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002999.php

懐かしい名前で帰ってきたアルファ / ALFA ROMEO Giulietta(2分45秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002998.php

今どきの高品質アメリカンSUV / FORD LINCOLN MKX(8分33秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002997.php

Wheel Talk! 第25回ホイールトーク1「2012年の新車から見る日本車の行くべき道」(10分56秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003018.php

Wheel Talk! 第25回ホイールトーク2「2012年の新車から見る日本車の行くべき道」(11分37秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003019.php

Wheel Talk! 第25回ホイールトーク3「2012年の新車から見る日本車の行くべき道」(9分40秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003020.php

第23回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース / 23rd Media 4 Hours Endurance Race 2012 (7分11秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003023.php

メルセデス・ベンツBクラス国際試乗会 / MERCEDES-BENZ B-Class(4分4秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/09/003022.php

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2013年9月25日水曜日

【清水和夫メールマガジン】第41号 アーカイブス 2012.8.25

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年8月25日 第41号
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東京大学トークショー2010 最終回

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 7回にわけてお届けしてきました東大でのトークショーもついに今回で最終回を迎えます。最後に清水和夫から東大生へのメッセージもありますので必読です。

飯塚 日本の車産業における絶対的な強みは何ですか?

清水 ノンポリが強みになると思います。この言葉は正しくないかもしれませんが、あまり一つのことに決めないで、のらりくらりと何も決めないけど、なんでもやるみたいな感じなのです。

こうした優柔不断さは多様性が求められる時代には相応しいかもしれません。(写真を見せ)これは去年の1月のデリーショーのスズキのブースの裏側で、ブースをつくった人たちです。何故帰らないのかを聞いたら、帰ったら壊すときに仕事がなくなってしまうと言うのです。

2週間後にもう一回壊す仕事が欲しいから、ずっとここにいる。これは本当の話です。デリーはインドの中で一番先進的な都市ですから、インドの人たちは生きるために、生活をするために、クルマが必要なのですね。ジャカルタでは、急速にクルマが増えて日本車比率は90%で、トヨタ、ダイハツのシェアが50%です。インドではスズキの乗用車だけで約70%のシェアがあります。

ここにトヨタやホンダも出てきますから、インド市場は相当日本車が強い。ジャカルタも強い。タイも強い。中国だけを見ていると、世界のいろいろな自動車メーカーがそこで競争しているように見えますが、アセアンやインドに行くと、日本車は相当強いです。

なぜなら現地の人に合わせてクルマをつくりますからね。図面も生産も現地化しています。

例えば何故インドネシアでトヨタが強いかというと、キジャン・イノーバという車があります。これは日本に入っていない、スペースフレーム構造のFRのミニバンです。何故フレームかというと、板金しやすいからで、トヨタが設計しています。何故FRかというと、道の悪いところがあるからFFだとだめだということです。

飯塚 FRというのは何ですか?

清水 前にエンジンがあって後ろのタイヤで駆動するのが、「フロントエンジン・リアドライブ(FR)」です。普通のクルマは前にエンジンがあって、前のタイヤで駆動するので「フロントエンジン・フロントドライブ(FF)」と区別しています。

道の悪いところで坂道が上れなくなってしまうので、FRのほうがいい。四輪駆動にすると贅沢税が取られるから二輪駆動のFRでなければだめです。その国に合わせて車をつくっているのが日本車のいいところで、逆に言うとポリシーがないとか、ブランドがないとか、横串がないといわれますが究極のヨーロッパ車がプレタポルテ(既製服)で日本車がオートクチュールなのかもしれませんね。

その国で必要な車を少ないエネルギーでつくってあげたほうがはるかにいい。こういうことは何のポリシーもない日本人のほうがむしろつくれるのではないかという気が最近しています。

日本は「ガラパゴス」と言われていますが、アジアを回ると意外にこのガラパゴスもたくさんの種類を持つと強いのではないかという気がします。ドイツのフォルクスワーゲンは、一番安い車がポロです(2011年にはエントリーカーのUP!が発売されましたが)それより安い車は、ルノー・ローガンなどです。

つまりフォルクスワーゲンはドイツの国民車でしたが、一番安い車をつくれないぐらいになってしまった。そういうフォルクスワーゲンが新興国に出ていったときに、現地の人たちのニーズでつくれるかといったら、ドイツ人の哲学やブランドがかえって邪魔をするかもしれません。ノンポリのほうが都合がよい時もあるのですね。

清水和夫→東大生へのメッセージ

清水 今、日本は非常に閉塞感があります。1人当たりのGDPで大体3000ドルを超えるとオートバイから四輪へユーザーがシフトすると言われています。

しかし日本とアメリカは同じ先進国ですが、半分のエネルギー消費で同じGDPを稼いでいるという事実があります。

これからあと25年で自動車は9億台増えると言われています。今、68億人の人口と9億台のクルマが地球上で走っています。100年かかって9億台になったクルマが、次は25年で2倍になるのです。

その9億台がどこで増えるかというとほとんどがアジアだと言われています。もしアメリカと同じエネルギー消費のライフスタイルを真似すると、圧倒的にエネルギーが不足します。

ですから、日本型の産業システムを世界が真似しなければならないのです。最近インド政府もエネルギーの問題が深刻になってきたので、日本の企業と一緒にやるケースがあります。中国のように大量にエネルギーを消費するアメリカ型モデルでは、この作でエネルギ
ーが本当に足りなくなる。

 日本で省エネということは、ある意味で今までの私たちのしみついたDNAです。半分のエネルギーで同じGDPを稼げる社会があるとしたら、新興国の人たちにこのプラットフォームを提供していけば、いわゆる持続可能な社会は可能です。

ライフスタイルを変えないで、車やほかの機械だけで、あるいは技術だけでエネルギー消費を半分にすることは非常に難しい。洞爺湖サミットで2050年にCO2排出を半減とG8は公約しましたが、それを全部自動車や技術だけでやるのは大変です。いかにライフスタイルから入っていくかが解決策になるのかもしれません。

 エネルギーの問題は、そのまま私たちの文明社会に直結していく問題です。僕は一クルマ屋ですが、車から見ただけでも少しライフスタイルを変えると、たとえばメルセデス・ベンツのスマートを買ったらこんなに楽しいというのに今まで気がつかなかったのですね。

自分がオーナーになってみたら、荷物を満載して片道200キロぐらいまで意外と平気で走っていってしまうのです。そうすると、スマートでこんなに長距離できることに何故今まで気がつかなかったのか、ちょっと悔しい。

どうしても長距離だとでかいエンジンで、V8で行ったほうが楽だと思ってしまいます。しかし、スマートでいくと逆にでかいエンジンで走っていったときに気がつかなかったことにたくさん気がついたりします。

ですから自分たちのパラダイムを変えることで、環境問題の大きな解決をアシストできることがわかってきました。そういう意味で、日本は今、閉塞感があって元気がないのですが、アジアの人たちから見るともしかしたら「坂の上の雲」は欧米ではなくて日本かもしれませんね。自分たちの価値を再発見して、もっともっと自信を持ってやっていけということが少しずつ今わかってきました。

 去年、精力的にアジアのいろいろな国に行きましたが、いずれケニアあたりのモーターショーに行ってみようと思います。世界は広く、もうグローバル化なんていうのは存在していない。

実は、一つの価値で世界じゅうのマーケットに出ていく車なんていうのはありません。それぞれの国の人たちが求める車を御用聞きのように聞いてあげて、つくっていってあげるのは、むしろ日本のほうが得意ではないかという気がしてなりません。ライフスタイルとエコカーの関係で話しましたが、今年はみんなで元気を持ってやっていける年だと思いま
す。

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【DST#番外篇】2011年ダブルレーンチェンジトップ10、7位〜10位 / 10 best Double lane change (7分14秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/08/dst201110710_10_best_double_la.php

【DST#番外篇】2011年ダブルレーンチェンジトップ10、4位〜6位 / 10 best Double lane change (5分19秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/08/dst20111046_10_best_double_lan.php

【DST#番外篇】2011年ダブルレーンチェンジトップ10、1位〜3位 / 10 best Double lane change (4分40秒)
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ルボラン カーズ・ミート2012 / LEVOLANT CARS MEET 2012 (8分57秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002973.php

くるまの未来を語ろう(前編) / LEVOLANT CARS MEET 2012 (16分8秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002974.php

くるまの未来を語ろう(後編) / LEVOLANT CARS MEET 2012 (15分58秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002975.php

ポルシェ ドリフトテクニック / PORSCHE Drift Technic (3分6秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002977.php

エンジョイ・ホンダ 2011 (前篇) / Enjoy Honda 2011 (11分48秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002978.php

エンジョイ・ホンダ 2011 (後篇) / Enjoy Honda 2011 (11分43秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/08/002979.php

ブガッティ・ヴェイロン300km/h超の世界 / BUGATTI Veyron(5分49秒)
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最新911カレラのカブリオレを解説 / PORSCHE 911 Carrera Cabriolet (7分32秒)
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フォルクスワーゲンの気筒休止 / VOLKSWAGEN Polo Blue GT(6分7秒)
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電気自動車でロングツーリングに挑戦! / TESLA Roadstar(8分26秒)
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【Start Your Engines Chronicles 2001】スバル初のミニバン、トラヴィック / SUBARU Traviq(5分58秒)
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2013年9月10日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第40号 アーカイブス 2012.8.10

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年8月10日 第40号
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東京大学トークショー2010 第6回

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 東大生たちとのトークもいよいよ佳境です。前回までの次世代車から先進技術に話題は変わります。

飯塚 交通事故の問題はやはり気になります。

清水 安全と環境は別物ではなくて同じモビリティの機能なのです。日本では昨年(2009年)死亡者の数が5000人を下回りました。都道府県別にいうと、今までは北海道と愛知県がワーストワン、ツーでした。東京都と神奈川県も多いですね。事故の死亡者数の問題は多角的です。ライフスタイルや救急救命も関係します。近年はエアバッグなどが充実したおかげでクルマそのものが安全になり、車内の死亡件数は減っていますが、逆にクルマの乗員以外の死者は増えています。

飯塚 歩いている方ですね。

清水 歩行者や自転車に乗っている人達ですね。もう少し細かく見ると6歳未満のお子さんと65歳以上のお年寄りが、自宅から半径500メートル以内で亡くなるケースが多いのです。

加納 最近、「ぶつからないクルマ」というCMをやっていますね。

飯塚 スバルのアイサイトという技術がわずか10万円で市販されました。

清水 これはメルセデス・ベンツの例ですが、前方はミリ波レーダーで障害物を検知し、ドライバーがわき見運転していても自動的にブレーキが介入します。厳密にはまず警報装置が鳴って、ドライバーの注意を喚起しますが、ドライバーが回避行動をしない場合は自動的に緊急ブレーキをかけます。こういう装置をスバルが実用化しました。これはもともとレクサスやホンダのレジェンドなども持っていましたが、20万、30万追加の費用が必要でした。それではなぜスバルが話題になったかというと、10万円で出したところがすごかったのです。その理由は高価なミリ波レーダーを使わずに、ステレオカメラだけで障害物を認識できるようにソフトを開発したのです。これが技術的なブレークスルーだったのです。ただ、交通事故の実態も国によって違います。ヨーロッパで世界一安全だと言われているクルマも日本では違うかもしれないし、日本の場合は歩行者の事故が多く、特に左折の時に自転車とかオートバイの巻き込み事故も多いです。

飯塚 僕はつくばの田舎のほうに住んでいて、高齢者で運転される方が多いのですが、結構危ない運転をされる方もいらっしゃいます。これからどんどん少子高齢化になっていく日本の中で、そういうIT技術は価値を高めていくのではないかと感じます。

清水 素晴らしい視点ですね。今、その問題がもっともホットです。しかしコンピューターにクルマの操縦をどこまで任せるのか、技術的な限界だけではなく、法律的な限界もあります。つまり「事故が起きたら誰の責任?」というような責任問題です。多くの事故はドライバーが原因なのでドライバーを処罰することが法律家にとってもっとも合理的なわけです。

飯塚 ペダルの踏み間違いはどうでしょうか

清水 踏み間違えはお年寄りばかりだと思っているでしょう。ところがデータを見ると若い人もいます。ペダルの踏み間違いだけで年間7000件の事故が起きています。昔のようにマニュアル車しかなかったときはもう少し緊張して乗っていましたが、機械が便利になって、オートマチックになって、人間がちょっとさぼっているところがあると思います。もう一つは、あまりにも都市の交通環境が悪く、アクセルとブレーキを頻繁に踏みかえていては、いつか人間の脳が混乱してしまうのですね。

清水 もう一つ高齢者の問題でいえば、いま高速道路の会社が一番悩ましいのは逆走事故です。海老名のサービスエリアに行くと、こちら側から出られないように進入禁止の看板がありますが、サービスエリアで間違って出てしまうケースはほとんどないそうです。本当の認知症というのは、いきなりそこでUターンしてしまうらしいです。家のガスコンロの火を消してきたか気にしながら走っていると、帰らなきゃいけないと思って突然止まってUターンしてしまう。間違ったと思っていないから、延々と左側(追い越し線側)を走るわけです。そういうケースが増えていると言っていました。

飯塚 高速で走っていると怖いですね。

清水 でも、もし自分の両親が車を運転するときに「おやじ、もう免許を返せよ」と言ったら、そのお年寄りたちは移動手段がなくなります。では今、何が移動手段としてあるかといったら、歩く以外で言うと時速6キロの電動車椅子しかありません。ジーッと歩道を走っているやつです。車に乗っていたお年寄りから免許を取り上げて、いきなり電動車椅子というのでは、病院に行ったり自分の好きなおばあちゃんに会いに行ったりできなくなる。時速20キロぐらいまでのEVをつくってあげれば、もう少し違ったライフスタイルができます。半径5キロ移動させてあげれば、十分お年寄りもやっていけると思います。東大の鎌田先生が機構長を務めるチームでは「ジェロントロジー(老齢学)」という研究が始まったようです。鎌田先生の論文では20年後には後期高齢者が2000万人を超えると言われています。自分が75歳になったときに電動車椅子かといったら嫌ですからね。しかし、自分がボケているという認識はないから、ポルシェなんかに乗っていたら危ないかもしれない。では何に乗ればいいのでしょうか? こうした高齢化社会が来ることが分かっているので、是非とも新しいモビリティを提案して、高齢化社会にふさわしいライフスタイルをつくり上げたいと思います。先進国はみんな日本の後ろからついてくるでしょう。

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【DST#042】ジャガーXKR-S vs メルセデス・ベンツC63AMGクーペ(加減速篇) / JAGUAR XKR-S Coupe vs MERCEDES-BENZ C 63 AMG Coupe(9分9秒)
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【DST#042】ジャガーXKR-S vs メルセデス・ベンツC63AMGクーペ(ハイスピードライディング篇) / JAGUAR XKR-S Coupe vs MERCEDES-BENZ C 63 AMG Coupe(4分49秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/07/dst042xkrs_vs_c63amg_jaguar_xk_1.php

【DST#042】ジャガーXKR-S vs メルセデス・ベンツC63AMGクーペ(ダブルレーンチェンジ篇) / JAGUAR XKR-S Coupe vs MERCEDES-BENZ C 63 AMG Coupe(4分47秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/07/dst042xkrs_vs_c63amg_jaguar_xk_2.php

【DST#042】ジャガーXKR-S vs メルセデス・ベンツC63AMGクーペ(旋回ブレーキ篇) / JAGUAR XKR-S Coupe vs MERCEDES-BENZ C 63 AMG Coupe(6分27秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/07/dst042xkrs_vs_c63amg_jaguar_xk_3.php

【DST#043】マツダCX-5 XD Lパッケージ vs マツダCX-5 20S(加減速篇) / MAZDA CX5 XD L Package vs MAZDA CX5 20S(9分19秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/08/dst043cx5_xd_l_vs_cx5_20s_mazd.php

【DST#043】マツダCX-5 XD Lパッケージ vs マツダCX-5 20S(ハイスピードライディング篇) / MAZDA CX5 XD L Package vs MAZDA CX5 20S(5分30秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/08/dst043cx5_xd_l_vs_cx5_20s_mazd_1.php

【DST#043】マツダCX-5 XD Lパッケージ vs マツダCX-5 20S(ダブルレーンチェンジ篇) / MAZDA CX5 XD L Package vs MAZDA CX5 20S(5分47秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/08/dst043cx5_xd_l_vs_cx5_20s_mazd_2.php

【DST#043】マツダCX-5 XD Lパッケージ vs マツダCX-5 20S(ウエット旋回ブレーキ篇) / MAZDA CX5 XD L Package vs MAZDA CX5 20S(5分26秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/08/dst043cx5_xd_l_vs_cx5_20s_mazd_3.php

【DST#番外篇】清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト教室(前篇) / Dynamic Safety Test Schhol(16分35秒)
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【DST#番外篇】清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト教室(後篇) / Dynamic Safety Test Schhol(14分49秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002951.php

【DST#番外篇】清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト教室(質疑応答篇) / Dynamic Safety Test Schhol(7分52秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002952.php

中学生ハイブリッド教室 / Hybrid Vehicle School(8分54秒)
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シトロエンDS5発表会 / CITROEN DS5(3分15秒)
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スカイアクティブGを都心で試す(前篇) / MAZDA CX-5 20S(8分24秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002948.php

スカイアクティブGを都心で試す(後篇) / MAZDA CX-5 20S(7分9秒)
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Wheel Talk! 第24回ホイールトーク「ゴールデンウイーク前後にあいついで発生した交通事故の考え方」part.1(8分34秒)
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2013年8月27日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第39号 アーカイブス 2012.7.25

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2012年7月25日 第39号
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東京大学トークショー2010 第5回

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 今回はEVがもたらす自動車という“モノ”の再発明についてのお話です。

清水 ヨーロッパの各都市ではもう既にいろいろな社会実験が始まっていますが、面白いのはアウディの例です。スマートフォンを車の中にセットし、そこから情報を双方向で得ます。皆さんが町の中心部に行きたいと思ったときに、何kWhぐらいのエネルギーを残しておけばEV走行で町の中心部まで行けるのでしょうか。そんなややこしい計算はすべてカーナビと連動してクルマ側から情報提供します。そのときに高低差も読めるカーナビがあれば、データはもっと信頼できます。もし下り坂だったらバッテリーがなくても行けるわけですからね。もはやカーナビはもはや道路情報だけではなく、クルマの司令塔にな
っています。

飯塚 そこからITで操作していくわけですか。

清水 そうです。そのときにスマートフォンが重要な役割を示すと言われています。これはスマートのEVの社会実験ですが、プジョーのEVのコンセプトカーでは、iPhoneを入れています。これをカーシェアリングしたときに、自分の情報がここからインターフェースできますが、iPhoneとEVを連動させてどれだけエネルギーを必要とするかとか、今アウディが開発している新型Q5というSUV車はハイブリッドもありますが、すごいのはカーナビの中に「あと何キロEVで走れる」という正確なデータが提供されます。もちろん登りと下りを考慮しますけど。

飯塚 平面ではなく立体でとらえているのですね。

清水 立体でとらえます。何故ならばEVは下り坂では位置エネルギーを電気エネルギーに変換できるからです。ですから高いところにいれば、空になっても発電しながら帰ってこれる。ヨーロッパのポルシェやアウディ、メルセデスのエンジニアたちは、エコカーとしてのEVをつくっているという感じではありません。新しい自動車をつくると燃えています。アウディは「新しい電気駆動、つまりeクワトロ」だと考えているのです。今のクワトロシステムは1980年にデビューしましたが、今度は「僕たちが21世紀のクワトロをつくる」と意気込んでいます。つまり電気駆動という新しい駆動方式の可能性を見出
したわけです。

飯塚 エコというと節約とか我慢というような辛い印象を抱くこともありますが、彼らにとってエコは自分たちのロマン、目指す方向の先にあるものだととらえているのですね。

清水 100年間エンジンと四つのタイヤという枠の中で進化してきたクルマに新しい発想はなかなかでてきませんでした。しかし彼らはその常識を壊してEVという技術を使っていかに新しい価値をつくるのに多きな喜びを見出しています。エンジニアのいろいろなワークショップに行ったときに、欧州メーカーは非常に若いエンジニアでした。EVのデザインは大きなエンジンがないのでスタイリングも自由に設計できます。

飯塚 今までのエンジンの熱の問題もなくなったので、デザインの自由の幅が広がっていく感じですか?

清水 そうですね。モーターは四箇所にわけて搭載できるし、バッテリーもどこにでも搭載できますね。ここ5年以内にたぶん世界はものすごく変わってくると思います。今、街中でフェラーリやポルシェが来て、交差点でバババッと音を出すのがカッコいいと目立ちたがり屋もいますが、これからは交差点でエンジンがとまるのが格好よくて、ワンワン音がしていたら「あれ、壊れたのかな?」「何故エンジンがとまらないの?」と思うようなパラダイムの変化が起きてくると思います。まさに天動説から地動説ですね。

飯塚 (写真を見て)ここは雪国ですか?

清水 これは白川郷です。ちょうど去年の今ごろ、ハイブリッドで雪道を走ったらどうなるかを試してみました。

飯塚 これはプリウスのプラグインですか?

清水 そうです。プラグインの実験車ですが、一つ発見したのは、電気駆動のトラクション性能はエンジンよりも優れているということです。

飯塚 トラクション性能というのは何ですか?

清水 タイヤが路面をグリップする力です。エンジンの力がタイヤを介して路面に伝わります。この時のタイヤと路面の摩擦力と駆動する力となります。路面がアイスバーンだとデリケートなアクセルワークをしてもどうしてもタイヤが路面をスリップしてしまいます。ところがEVで加速するとタイヤのブロック一個ずつが路面に丁寧に食いつくような感じになります。その結果、タイヤが滑りにくく、トラクション性能が向上するのです。エンジンは爆発力を回転力にしているので、実はどうしても回転ムラ、つまりトルク変動が起きてしまいますが、EVでは変動が少なく、一定のスムーズなトルクが出ると、実はタイヤの能力はまだ高いことがわかりました。エンジン車では登れない坂道でもEVなら楽に登れることを経験しました。ということはEVは滑りやすい雪道に強いのです。しかし、EV車に備わっているタイヤは転がり抵抗が少ない(燃費がよい)エコタイヤを履いているケースが多いので、この種のタイヤは滑りやすいウェット路面に弱いのですね。スタッドレスタイヤを履けば別ですが。

飯塚 EVは雪の上でも力を滑らかに出していけるけれど、エンジンは一気にガーンと出てしまうのですね。

清水 人間がアクセルで燃料の噴射量を決めて、その結果、高圧になったシリンダーで爆発する。この熱から機械に変換されるエネルギーはとても大きいのですが、あまりに唐突的かもしれませんね。しかし、モーターは電流に比例してトルクが得られるので、細かく制御しやすいのです。EVのスノードライブはバッテリーが寒さに弱いところはありましたが、とても面白かったです。

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【DST#041】スバルBRZ S vs ポルシェ・ケイマン(加減速篇) / SUBARU BRZ S vs PORSCHE Cayman(8分50秒)
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【DST#041】スバルBRZ S vs ポルシェ・ケイマン(ハイスピードライディング篇) / SUBARU BRZ S vs PORSCHE Cayman(4分33秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/07/dst041brz_s_vs_subaru_brz_s_vs.php

【DST#041】スバルBRZ S vs ポルシェ・ケイマン(ダブルレーンチェンジ篇) / SUBARU BRZ S vs PORSCHE Cayman(5分30秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/07/dst041brz_s_vs_subaru_brz_s_vs_1.php

【DST#041】スバルBRZ S vs ポルシェ・ケイマン(旋回ブレーキ篇) / SUBARU BRZ S vs PORSCHE Cayman(5分36秒)
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ソウルサーチャーズ特別対談 清水和夫×石井昌道1(12分57秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002903.php

ソウルサーチャーズ特別対談 清水和夫×石井昌道2/3(8分34秒)
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ソウルサーチャーズ特別対談 清水和夫×石井昌道3/3(9分31秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002940.php

小排気量の旗艦車 / PEUGEOT 508 SW Allure(10分20秒)
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三菱からもプラグイン・ハイブリッドが登場! / Mitsubishi Concept PX-MiEV?U(8分17秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002943.php

四駆のフェラーリ / FERRARI FF(8分31秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002944.php

アメリカに似合うドイツ製SUV / MERCEDES-BENZ ML Class AMG(4分42秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002945.php

総アルミ作りのメルセデス・オープン / MERCEDES-BENZ SL Class(5分52秒)
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【DST#番外篇】清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト教室(前篇) / Dynamic Safety Test Schhol(16分35秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002950.php

【DST#番外篇】清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト教室(後篇) / Dynamic Safety Test Schhol(14分49秒)
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【Start Your Engines Chronicles 2001】スバル・レガシィEチューンインプレション〜欧州風味のレガシィ〜 / SUBARU LEGACY E tune (9分14秒)
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2013年8月13日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第38号 アーカイブス 2012.7.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2012年7月10日 第38号
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TPP報道について思うこと

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 今回のメールマガジンでは東大のトークショーリポートを一旦中断し、いまだに報道が過熱しているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について書きたいと思います。

 今更説明する必要はないかもしれませんが、TPPとは加盟国間の関税撤廃によって市場の拡大を目的とする経済的枠組みです。それによって自国の農業などが圧迫され、食糧自給率の低下が懸念されるなど様々な問題をはらむ重要な決断が求められています。

 しかし、こと自動車に関する日本の大手メディアの報道を聞いていて、違和感を感じるのは私だけでしょうか。大手メディアは軽自動車をヤリ玉に挙げて、「日本独自の軽自動車規格が自由貿易の弊害となっている、とアメリカが主張している」と報道しています。1980年代の日米関係ならいざしらず、現在の日米自動車産業はそれぞれに新しいビジネスモデルを実践しているのです。ビッグ3のひとつであるGMは一旦破綻し、生まれ変わっているのに、なぜそのような軽自動車バッシングをするのだろうかと疑問に感じていました。

 ことの発端は2011年12月、野田佳彦首相がハワイで「TPP加盟」を表明したことから始まりました。ワシントンでは様々な議論が吹き出し、セクターごとに通商部はヒアリングを始めました。そして、自動車産業部門ではビッグ3を代弁する米国自動車政策会議(AAPC)が日本のTPP参加を反対しました。ここまで日本の大手メディアの報道は正しいかったのですが、その理由を「軽自動車規格が閉鎖的で貿易障壁となっている」と報じてしまったのです。

 しかし、その理由はまったく理にかなっていません。軽自動車は日本独自の規制がありますが、どのメーカーにも平等にルールは適応されています。実際にメルセデス・ベンツは初代スマートを軽自動車の規格に則した仕様にして日本で販売したことがあります。

 日本市場が輸入車に閉鎖的といいますが、逆の理由は思い当たるふしがあります。こと自動車の認可に関しては、むしろ輸入車だからという理由だけで、かなりの「お目こぼし」があるのです。わかりやすい例では左ハンドルが堂々と走れますし、左ハンドル用に有料道路の料金所も設計されています。しかも少量輸入自動車に適用されるPHPという簡易輸入制度の対象車にもエコカー補助金が与えられているほどです。

 関税は日本に輸入されるクルマはゼロですが、アメリカは乗用車に2.5%、トラックに10%、しかも州によってはゼロエミッション車のある一定の割合で販売しないと普通の車が売れないというZEV法(ゼロエミッション法)が存在するのです。いったいどちらが閉鎖的なのでしょうか。

 そこでGMの広報部に取材してみると「日本の軽自動車制度に関してアメリカは中立です」と言い切りました。その発言はGMだけの意志ではなくアメリカの自動車業界を代表したものと理解してもかまわないとのことでした。

 ネットなどにも記載されていますが、AAPCは次のように反対の理由を説明しています。その一つは「日本がTPPに加盟すると交渉が遅れることを懸念」しているのです。1年ずつしかもたない政権では信用できないという意味なのでしょうか。もう一つの理由は「政府の為替介入」は自由貿易に反するということです。この2点がアメリカ側の主張なのです。

 もちろんTPPへの日本加盟の是非を巡る問題は日本の国会でも議論されていました。2月の衆議院予算委委員会では田中康夫議員が軽自動車問題を引き合いに出して、自らのTPP加盟反対を説いていましたが、実際には軽自動車規格はアメリカで問題になっていなかったのです。その点では田中議員も日本大手メディアの間違った報道の犠牲者になってしまったといえるのではないでしょうか。いっぽうで安住淳財務大臣が正々堂々と「(1ドル=)75円63銭で介入を指示し、78円20銭でやめた」と発言してしまいました。これこそがアメリカ側の反対理由なのです。

 今回のメールマガジンではTPPに関して日本の大手メディアの報道が間違っていることを指摘しましたが、国会でも間違った議論があり、さすがにアメリカ側も日本の報道に驚いているようです。

 さて、そもそもTPPに日本が加盟する必要があるのかどうか、メリットとデメリットを精査する必要があります。現在、アジアにおける日本の自動車産業はとても上手に立ち回っているので、あえてTPPに加盟してもアメリカの利益が優先するだけではないでしょうか。円高で海外現地生産が加速する日本の自動車産業にとって、TPP加盟は重要案件ではないように思えます。経団連の一員である自動車メーカーに正式に聞けば賛成と答えるに違いありません。しかし、賢明な記者ならホンネを探ることはそう難しくないでしょう。

※本稿は『ENGINE』(新潮社、2012年4月号)に掲載された原稿に加筆修正を加えたものです。

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Wheel Talk! 第23回ホイールトーク「エネルギー問題と日本自動車メーカーの生きる道」(34分18秒)
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【Start Your Engines Chronicles 1999】スバルB4ヨーロッパを走る/ SUBARU B4 Drive in Europe(16分15秒)
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【Start Your Engines Chronicles 1997】 スバルが考える未来のコンセプト / SUBARU Concept Models 1997 (8分30秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002908.php

【Start Your Engines Chronicles 2000】 スマート発表会 / smart (9分30秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/07/002934.php

【Start Your Engines Chronicles 1999】レガシィ・アクティブ・ドライビング・フェスタ '99 / Legacy Active Driving Festa '99 (23分15秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2012/06/002932.php

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2013年7月25日木曜日

【清水和夫メールマガジン】第37号 アーカイブス 2012.6.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2012年6月25日 第37号
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東京大学トークショー2010 第4回

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 前回はEVについて語り合いましたが今回はヨーロッパの新しいモビリティの可能性を日本にあてはめて考えてみました。

清水 パリ市内の「ヴェリブ」というレンタル自転車は、フランスの各都市にあり、乗り捨て自由です。

加納 返さなくていいのですか?

清水 いや、返しますよ(笑)。

加納 借りた場所でなくても、決まった場所に返せばいいのですね。

清水 そうです。日本でいえば地下鉄駅の至るところに駐輪場が設置されているので、そこで返せばいい。借りるときもPASMOのようなカードで決済が可能です。来年あたりからこれがリチウムを使った電動アシスト自転車に変わりそうです。

これまではお年寄りが乗れなかったけれど、電動アシストだったら乗れるので、ひと漕ぎで15km/hぐらいまで出るものを普及させようとしています。その先に電動スクーターがあって、さっき言った二人乗りのコミューターカーをカーシェアリングでやっていきたいというのがフランスの新しい計画の中に入っています。

飯塚 町もどんどん変わっていっているのですね。

清水 町を変えないと、新しいモビリティは絶対に普及できません。しかし、日本ではこの「町を変える」という発想はなかなかありません。

飯塚 難しそうですね。

清水 日本では都市は誰が作るのでしょうか。国土交通省の旧建設省である道路局は高速道路と国道を所轄しますが、県道や市道もあるので、横串を通しにくいですね。

飯塚 クルマだけではなく、都市設計を含めて連携して考えていけなければいけないということですね。

清水 ヨーロッパは今の話ではCIVITAS(City Vitality Sustainability)というEUの元気がでる町作りプロジェクトがあります。

すごく面白い政策で、その先駆者的な役割を果たしたのがフランスのナント市です。大西洋に面し、造船が得意な町でしたが、不況で町の中心部が疲弊して非常にひどい状態になりました。それが、モビリティを変えることによって新しい町をつくり上げたのです。ここは町の中心部を30km/hと決めたので、路面電車、バス、クルマ、オートバイ、自転車、歩行者などがお互いに空気を読みながら渡ります。

そう、信号機がないのです。場所によってはゾーン15km/h、大方中心部はゾーン30km/h。旧市街の入り口にはインテリジェントボラードといって鉄柱が路面からニョキニョキ生えてきて、そこで生活している人しか入れさせない。こういう新しい都市計画が10年ぐらい前から着々と進んでいて、こういう中に新しいEVを入れるとものすごく生活が変わります。

排ガスは綺麗になるし、騒音も少ない。信号がないから景観もいい。つまり、すごしやすい町ができるのです。日本の場合はどうしても自動車やハードウエアのほうの話が先行して、都市計画といっても40年たっても変えられないようなものがたくさんあります。もう町とセットで変えていかないと新しいモビリティ社会は手に入れることはできないと思います。

加納 日本では「町を変えていこう」という政策は、まだ進んでいないのですか?

清水 一部の地方都市、例えば富山のようにLRT(ライトレールトランジット)という路面電車を入れたところもあります。首長さんたちの権限でいろいろなことができるのですが、今はどこの地方もお金がないし、どうしても中央政府に頼りがちになっていくと、中央からの指示待ちになる。例えばスズキの本社がある浜松は、30年前にトランジットモールを計画して今でもできていません。

加納 大分遅いですね。

清水 だから町の中心部がどんどん疲弊していってしまいます。逆に町の中心部は生活空間と割り切って、自動車の流入制限を実施するとかえって町に活況が出る。そういうことが今ヨーロッパで行われています。

ヨーロッパがプラグインにものすごく力を入れているのは、来年あたりベルリンのブランデンブルク門のあたりをグリーンエリアに指定して、エンジンのピストンが動いていたら流入させないという政策を考えています。今、ロンドンでは渋滞のためにコンジェスチョン・チャージ(渋滞税)があり、市内に入るときには1500円とか2000円払わなくてはなりません。それがやがてグリーン規制に変わっていくだろうというわけです。

パリ、ロンドン、ローマ、ミラノ、ベルリン、フランクフルト、ミュンヘンなどでは、町の中心部は生活者のためのエリアなので、60km/h以上のスピードで走るクルマの騒音や排気ガスを抑えてしまおうという取り組みが行われるでしょう。EVだったら町の中心部に入れるという基礎をつくろうとしています。まさに都市とモビリティの新しい関係が始まろうとしています。

今、ヨーロッパではハイブリッドなどの技術は燃費をよくするだけではなく、プラグインなどに拡張し、外部電源から充電した電力で距離10kmとか20kmという距離をエンジンを使わずに走れればゼロエミッションのEVと同じ意味を持ちます。

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【DST#040】ポルシェ911カレラS vs ポルシェ911カレラ4GTS(加減速篇) / PORSCHE 911 Carrera S vs PORSCHE 911 Carrera 4 GTS(7分8秒)
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緊急ディスカッション1 「最新の自動車技術で事故は防げたのか」(37分23秒)
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2013年7月12日金曜日

【清水和夫メールマガジン】第36号 アーカイブス 2012.6.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~

2012年6月10日 第36号
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東京大学トークショー2010 第3回

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 前回はさまざまなエコカーがあるという話題でしたが、今回はEVについてその可能性を語り合いました。

清水 エコというと定義が難しくて、燃費だけなのかというと違います。排気ガスの話も考えていかなければいけないし、新しい再生可能なエネルギーにシフトできるものもエコロジーだと思います。燃費のほうばかり気にしていくと、なかなか本当のエコロジーの姿が出てきません。世界をいろいろ回ると、国によってエコロジーのとらえ方が違います。日本にもエコカーがありますが、どこからエコカーでどこからはエコカーではないのかは、よくわからないのです。

飯塚 ガソリンでも燃費がいいのがエコカーかもしれません。

清水 日本ではアメリカから輸入されたハマーがエコカー補助金の対象で、法律的にはエコカーです。トヨタのでかいアルファードもエコカーです。こども店長がでてきて、「エコカー減税&補助金」って。(笑)結局、人間がつくった政策と実態が少しずれているところがあって、私たちはちゃんとそこを見ていかないといけません。燃料消費だけでいうと、でっかいクルマはすべて「悪」で、環境に優しい小さいクルマになってしまう。今日もアストンマーティンの前で写真を撮ってブログに載せたら、「そういう“高いところ目線”でエコをしゃべるのですか」とブログに書かれました。エコというと、みんな生活を質素にして、大きいクルマには乗らない、なるべく歩いて自転車に乗るというところにどうしてもなる。

飯塚 清水さんは、僕たちと同じぐらいの年のときにはレーシングドライバーとして活躍されていたそうですね。それがどういう経緯でエコに対して興味を持つようになったのでしょうか?

清水 少し恥ずかしい話ですが、22歳ぐらいのときにたまたま志賀高原ラリーというビッグイベントでルーキーが勝ったのです。お金がないのでいいスパイクタイヤが買えなかったのですが、たまたまこのラリーは雪が降らなかったので、スパイクタイヤがなくても勝てた。だからフロックだと雑誌に書かれましたが、「ルーキー清水和夫がビッグエベント制覇」と書いてあります。雑誌には「エベント」と書いてありましたね、時代を感じます(笑)。ところが2年目にまた同じラリーで2連勝しました。しかし、当時は昭和53年規制と呼ばれる本格的な排気ガス規制が施行されました。日本メーカーはその対応に追われ、モータースポーツ活動を休止した時期でした。そのために、クルマは諦めて、一応オーディオの会社に技師として就職したのです。しかし、クルマが忘れられなくてこの世界に戻ってしまったというわけです。これでは質問の答えになっていませんね。エコを意識したのは80年代の耐久レースでしたね。燃費が厳しかったけど、速く走らないといけないし。速さはクルマの大切な効率だと分かりました。

加納 最近はレーシングカーもエコを意識していますか?

清水 もちろんです。ルマン24時間ではディーゼルのレーシングカーが常識となりましたし、F1もハイブリッドを使うようになりました。しかもドイツの24時間耐久レースでは天然ガスのレーシングカーも走っています。耐久レースは1周ごとに燃料消費量がモニターされています。一つのチームにドライバーは3~4人いるので、同じラップタイムで走っていても、「清水さんはちょっと200cc多いです」と言われることもあるわけです。ですからこっちも一生懸命に燃料を使わずに、速く走る努力をするわけです。これは普段のエコドライブに繋がると思います。

加納 無線か何かで燃費についてやりとりするのですか?

清水 今はテレメーター(走行中の車両データを無線でピットに飛ばす技術)で飛ばせないのですが、1周ごとの燃料消費量が運転しながら目で見てわかるので、1周走ると「その数字を言ってください」と無線で言われます。「今、○○リッターです」と言う「ちょっと多いです」とかね。

飯塚 速いだけではなくいかに燃料を食わない走り方をしていくかも大事ですね。

清水 そうです。だから80年代のホンダもF1で1500馬力を出していたら、レースの最後にはガス欠になってF1マシンを揺すってフィニッシュなんてシーンが思い出されます。──皆さんは80年代といっても生まれていないですね(笑)。F1は燃料をギリギリに搭載しているので計算が狂うとガス欠するのです。また、エコはなにも燃料だけではなく、タイヤやブレーキなどの消耗品も含まれています。うまいドライバーはタイヤが長持ちしますからね。当時はホンダが第2期黄金期で、F1でとても速かった時代でした。それはどういう技術かというと、ホンダのCVCCという環境に対応したシビックのエンジンの制御技術がF1の技術に使われました。日本の自動車の省エネ技術というのはF1の世界でも通用したし、もともと速く走ることはエコなのですね。だって軽くしないと速くならない。空気抵抗を小さくしないと速くならない。つまり、速く走る要素技術は全部エコロジーに繋がるので、スポーツカーは反社会的だという考え方は技術的には間違っています。ですから今、ヨーロッパで何が起きているかというと、ものすごい勢いでエコカーのスーパーカーが登場しています。ところで、飯塚さんは、アメリカのテスラ社に行ってきのですね?

飯塚 はい。夏休みに学科の研修旅行で、サンフランシスコのシリコンバレーのテスラ社にお邪魔してきました。

清水 テスラのEVスポーツカーのボディはイギリスのロータス社製のアルミボディですが、中身はパナソニックのバッテリーを使っています。メルセデスの高級車EVも開発中ですが、メルセデスの燃料電池車は「F-Cell」、BクラスのバッテリーEVを「E-Cell」と呼んでいます。これに補助電源装置のエンジンを載せると「E-Cellプラス」となり、レンジエクステンダーと呼ばれています。ハイブリッドはエンジンが主力でモーターは補助でしたが、このレンジエクステンダーはモーターが主力でエンジンは補助的に発電だけを行います。2011年のアメリカのデトロイトショーでは6000万
円以上という高価格のポルシェのスーパーカー918が発表されました。V8エンジンがドライバーの背中に搭載され、これだけで500馬力ぐらい発生します。後ろのタイヤで駆動しますが、40キロワットぐらいのモーターがフロントのタイヤに左右それぞれ独立して配置され、このモーターが左右のタイヤに異なるトルクを与えます。その結果、旋回モーメントを発生できるトルク・ベクタリング機能が可能となるのです。

飯塚 片方だけ回転させて、タイヤの回転だけで動くわけですね。

清水 イメージはそんな感じですね。この技術が実用化すると今までの私たちの常識をくつがえすようなドライビング感覚が可能となるでしょう。交差点をUターンするのにもちょっとハンドルを切っただけで容易に回ったりできそうです。

飯塚 少しハンドル操作しただけで路地の角を曲がることができてしまう。

清水 フロントに二つのモーターがあるということは、スロットルを戻すと、回生エネルギーが蓄えられます。これは市販モデルなのでリチウムイオンのバッテリーを積んでいますが、レースモデルは、F1が使っているものと同じKERSという機械的な蓄電技術です。化学的に電気を蓄える貯金ですが、KERSはフライホイールを使い、機械的に電気エネルギーを蓄えます。

飯塚 ブレーキを使うと、走っていたタイヤの回転から電気にしてエネルギーを回収できるようなシステムですね。

清水 「タイヤの回転で運動エネルギーを電気として回収する」と理解してもかまいません。分かりやすく説明すると、走っているクルマはエンジンに次いでブレーキが高温になります。なぜならブレーキは運動エネルギーを摩擦力で熱エネルギーに変換し、それを大気に捨てて冷やします。ところが、捨てられた熱エネルギーは二度と回収できないので、もったいないですよね。そこでモーターを使うと、熱エネルギーを捨てずに、電気エネルギーとして回収できるわけです。これはバッテリーでなければできない芸当ですよね。

飯塚 今のハイブリッドカーもそういうブレーキによるエネルギー回収が無駄を省く役割だったのですね。これからそういうクルマが普及していって、私たちの生活は具体的にどうなるのでしょうか。

清水 今年はEV元年ですが、まだリチウムのバッテリーも生まれたての赤ちゃんのようなものです。すぐに、ガソリン車に取って代わるなんていうことを期待してはいけません。今はエンジンとどうやって仲良くしていくかが大事です。これはルノーの縦に2人乗りの電気自動車です。2年後ぐらいにはこのEVがパリ市内を走っています。こういう小さいクルマを町なかの移動コミューターカーとして使うには、あまり長い航続距離は要りませんよね。だからリチウムバッテリーが一番ふさわしいのですね。都市では騒音や排気ガスの問題も解決できるます。EVでしたらゼロエミッションでゼロノイズなのですね。

飯塚 町の中でちょっと買い物に行くとか、そういう用途に最も適しているということですか?

清水 そうです。先に説明したポルシェのスーパースポーツカーを見てみると、これはプラグインハイブリッドなので、リチウムイオンバッテリーだけで20kmぐらいの距離はEV走行が可能かもしれません。これだったら奥さんがEV走行でデパートまでお買い物に使えるし、お父さんは高速道路まで静かにEVで走行し、高速道路に乗ったらエンジンをかけてサーキットまで行く。そういう新しいライフスタイルが6000万円払えばできます(笑)。ですからEVとハイブリッドスポーツカーは一台で二役可能となります。

飯塚 完全にEVに行くのではなくて、長い距離を走るためにはエンジンの力はまだまだ必要ですのですね。

清水 EVは新しいクルマの仲間と捉えたほうがいいと思います。トヨタやホンダが頑張って開発してきたようなハイブリッドは、さっき言ったようにブレーキのエネルギーを電気エネルギーとして貯金箱に蓄えることができるので、ストップ&ゴーが頻繁に繰りかえされる先進国の都市部ではほとんどハイブリッド化することは間違いないと思います。何故先進国かというと、ハイブリッドはコストが普通のクルマ(ノンハイブリッド)よりも高いからです。例えばインドのタタがつくっているナノという車は20~30万円です。これが10年後、20年後を考えたときに一体幾らまで下がるでしょうか。新興国ではコンベンショナルでクリーンで燃費のよいガソリン車が主に普及するでしょう。
実はディーゼルもハイブリッドと同じようにコストが高いのです。もう一つのオプションとしては、先進国の都市部では外部電力が使えるプラグインハイブリッドが主流になるのではないかと思います。大きな都市の町中ではコンパクトなEVもおおいに可能性があります。

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清水和夫のメール相談室~私はこう考える~

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相談内容(Y・Sさん 東京)
「清水さんはスポーツカーのアイドリングストップについてどう思われますか? 先日仕事の都合で深夜、新型911に乗っていました。渋谷を通らねばならず、道玄坂を走っていたのですが、不良たちがたむろしているところでちょうどアイドルストップでエンジンが停止しました。そして再始動の際に「ズバン!」とエンジンがかかってしまいました。すると、不良たちがケンカを売られたと勘違いしてこちらのほうに来るではありませんか! 私は平静を装いながら走り去りましたが、あれ以来怖くてアイドルストップはキャンセルしています」

清水の回答
「笑いそうになりました。たしかに新型911カレラのエンジンスタートの音は過激ですよね。人混みの中では周囲に気を配ることも必要かもしれません。でも、Y・S様がとった行動は正解でして、世の人は何が理由でキレるかわかりませんからね。もしもポルシェ918スパイダーなら、プラグインハイブリッドなので、モーターで静かに動き出し、スピードが乗ったらエンジンが始動するか、あるいは街中はEV走行で静かに走ることができそうです。時代の過渡期かもしれません」

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【DST#039】トヨタ・ヴィッツRS G's vs トヨタ・アクアS(加減速篇) / TOYOTA Vitz RS G'z vs TOYOTA Aqua S(6分54秒)
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マツダCX-5の走りの狙いはどこにある? / MAZDA CX-5(15分59秒)
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AMGにもダウンサイジングの流れ / MERCEDES-BENZ CLS 63 AMG(4分18秒)
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【世界のモーターショー】バンコクモーターショー2012 / The 33rd Bangkok International Motor Show 2012 (4分35秒)
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タイで生産されるミラージュにタイで乗った / MITSUBISHI Mirage (7分48秒)
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レトロな新車、P.G.Oセバンヌに乗った / P.G.O Cevennes(4分50秒)
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帰ってきたビートル / VOLKSWAGEN The Beetle(5分4秒)
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ユーラシア大陸横断1万5000kmを語る 1/3(8分53秒)
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ホンダの先進技術4 / HONDA Meeting 2011 (7分14秒)
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メルセデス・ベンツ新型Bクラス発表/ Mercedes Benz New B Class
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2013年6月26日水曜日

【清水和夫メールマガジン】第35号 アーカイブス 2012.5.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2012年5月25日 第35号
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緊急提言第二弾 関越自動車道 藤岡ジャンクションのバス事故

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 信じられない事故の光景がTVや新聞で報道されました。まるで防音壁がバスを切り裂いたような悲惨なバスの姿を見て、私は真っ先に道路の加害性を疑いました。私は今から10年以上も前に『クルマ安全学のすすめ』(NHK出版)という本を上梓しています。この本は人とクルマと道路の三つの要素からなる交通事故の実体を基本に考えながら、クルマの安全技術について書きました。メルセデス・ベンツを取材すると、運転する人間の行動やぶつかる相手のことを知る必要があると知らされました。

 今回の事故は運転手が適正に運転していれば何の問題も表面化しなかったのですが、過酷な労働条件下での運転による居眠りが話題となっています。もちろん、プロの運転手なので、そのバスを運用していた企業の責任もありますし、価格競争が招いた結果だという主張も耳にします。しかし、どんな事情があろうと、多くの交通事故はドライバーのミスで生じることは周知の事実です。ゆえにドライビングをアシストする技術が存在するのです。また、ぶつかった時の被害を少なくするのは自動車に備わるベルトなどの拘束装置であり、こうした乗員保護装置があるから被害を少なくできるのです。これは自動車メーカーに課せられた義務なのです。

 また、道路管理者あるいは道路設計者はクルマがぶつかっても被害を拡大しないように安全な道路を設計し運用する義務が課せられています。その点、今回の高速道路の事故では、道路管理者であるNEXCO東日本や道路を所有する日本道路保有機構にガードレールや防音壁がクルマに対する加害性がなかったのかどうかの責任があるはずです。

 現場に行って、実際にこの目で見てわかった事があります。事故現場は県道が下に通る小さな立体交差となっており、橋の欄干はコンクリートでできていました。しかもコンクリートの端はスロープのような形状ではなく、直方体の形が剥き出しになっていました。金属でできたガードレールはその手前で終わっており、新しいガードレールならコンクリートの欄干にオーバーラップされるはずが、この場所の欄干とガードレールは繋がっていなかったのです。これが被害を拡大した張本人であり、防音壁は二次的な被害だと思いました。

 つまり、緩い左カーブの左車線を走っていたバスは100km/h近い速度で車線を逸脱し、左側のガードレールに浅い角度でぶつかった。ガードレールはバスの荷重に耐えきれず、外側に歪み、バスの軌道は完全に車線を逸脱してしまった。その結果、コンクリートでできた橋の欄干に25%くらいのオフセット衝突が生じたのではないでしょうか。

 このエネルギーを吸収しないコンクリートのリジットバリアがバスの正面から激突。その時の衝撃でベルトを装着していない乗員は瞬時に前方に投げ出されたのです。一列目に座って助かった乗員はシートベルトを装着していたことからも、その様子が想像できます。バスが軽量化のために強度不足という専門家の発言があったが、それは自動車工学の知識からはあり得ないことです。バスの強度の問題よりも、道路の加害性とバスにシートベルトが備わっていたのかどうか、あるいはベルト装着したかどうかが論点ではないでしょうか。

 最近、大型車が高速道路でからむ死亡事故が多いことから、大型車にプリクラッシュ技術が義務化されることになっていた矢先の事故でした。古いバスなどにはドライブレコーダーを装着したりしながら、日頃から「ヒヤリ&ハット」を監視する必要があると思っていました。今回のバス事故から技術的な検知で学ぶべきことを最後にまとめておきます。

道路側の課題
・車線逸脱は道路の白線にギザギザの横溝をつけることでも警告できた
・実際に現場を何度も走ってみたが、白線に横溝はなかった
・エネルギー吸収できない堅い構造物はガードレールでオーバーラップする
・古い道路を新しい道路の基準にアップデートする
・事故が多い道路区間にビデオカメラを設置し、何が起きているのか把握する

車両側の課題
・二点でもいいのでシートベルトを装備
・当たり前だが古いバスにはベルトがないケースもある
・高速道路では特にベルト装着は義務化
・トラックだけでなくバスにもプリクラッシュの義務化が必要

運用側の課題
・高速路線バスと貸し切りバスの違いを明確にする
・旅行会社とバス会社の安全意識を厳しくチェックする
・公共交通としての安全運用のガイドラインの設定する
・それらを違反した場合の罰則規定を厳しくする

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【DST#038】レクサスGS350バージョンL vs BMW 535i(加減速篇) / LEXUS GS350 Version L vs BMW 535i(5分48秒)
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使いやすさが魅力のルノー ウインド / RENAULT Wind (4分40秒)
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マクラーレンMP4-12C総力取材!5 【インタビュー篇】 / MCLAREN MP4-12C(14分20秒)
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プローバ・ドライビング・アカデミー2011 / PROVA Driving Academy 2011 (6分46秒)
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ドライビングと安全について / PROVA Driving Academy 2011 (42分31秒)
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ホンダの先進技術2 / HONDA Meeting 2011 (6分36秒)
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2013年6月10日月曜日

【清水和夫メールマガジン】第34号 アーカイブス 2012.5.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2012年5月10日 第34号
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緊急提言第一弾 京都の祇園で起きた交通事故から何を学ぶべきか

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 京都で痛ましい交通事故が起きたと思っていたところ、連休を挟んで次々と悲惨な事故が起こりました。それぞれの事故に関連性はないかもしれませんが、ここまで偶然に大惨事が連続して起きると、日本のクルマ社会に天罰が下ったとのかと思ってしまいます。亡くなられた方々にはご冥福をお祈りしつつ、自動車で日々の糧を得ている身としては、今回の事故から何かを学び取り、再び悲惨な事故が起きないように警報を鳴らすことが自分の責任だと痛感しています。今回のメールマガジンはそれぞれの事故に関して私なりの見解を述べたいと思います。

 まず京都の祇園で起きた事故はどう考えるべきでしょうか。Youtubeを見るとタクシーと軽い追突を起こした後で、まるで逃げるように歩行者をなぎ倒し、細い路地を暴走するシーンが映っています。その様子はドライバーの運転は決してふらついているような感じではありませんでした。運転に関しては正常な能力を持っていたと思われます。しかし、その運転手がテンカン持ちだったころから、事故の原因が「適正な運転能力があったかどうか」に議論が集中しています。

 しかも警察の事故調査報告はまだ発表されていませんが、一部のメディアでは「電信柱に激突して、運転手は亡くなったが、右足はアクセルを踏んでいた形跡があるらしい」と囁かれています。

 詳細な検死と壊れたクルマを工学的に検証すれば、ぶつかる直前までアクセルを踏んでいたのか、ブレーキを踏んでいたのかは断定できるはずです。その意味でも医学と工学が連携した事故調査が不可欠なのですが、警察は交通事故をまず刑事責任としての犯人(原因)探しに終始しています。

 私がその映像を見たときに真っ先に浮かんだのが、アクセルとブレーキの踏み間違いがあったのではないかということです。タクシーと軽衝突を起こしてパニックになり、思わず踏んだブレーキペダルがアクセルペダルだったかもしれない……というのは軽自動車のアクセルペダルは左側に寄りやすい構造となっているので踏み間違いやすい構造なのです。

 もう一つ事故を未然に防ぐ可能性もあったと思います。そのチャンスは最初にタクシーと衝突した時です。エアバッグが備わっていたクルマなので、Gセンサーがついています。タクシーとの接触で衝突を関知したら、エンジンを止めてしまうか、あるいは10km/h前後でスピードリミッターを効かせることができたはずです。法律では定めていませんが、二次衝突を防ぐことは技術的には難しくありません。このように考えると祇園の事故から学ぶべきこは少なくありません。

 今回の事故から下記の4点を問題提起したいと考えています。

1 医学と工学が連携した事故調査が必要
2 事調査の結果は公開されるべき
3 ペダルの踏み間違いの可能性がある
4 二次衝突を防ぐシステムの実用化

次回は関越自動車道藤岡ジャンクションのバス事故について提言を述べたいと思います。

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CARトップ 筑波サーキットテスト2012春(前編) / CARTOP Tsukuba Circuit Test 2012 Spring(6分16秒)
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GENROQ スーパーカー対決に密着取材! / GENROQ Circuit Test in Fuji Speedway(3分33秒)
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マクラーレンMP4-12C総力取材!3 / MCLAREN MP4-12C(6分)
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マクラーレンMP4-12C総力取材!4 / MCLAREN MP4-12C(5分16秒)
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フルスカイアクティブのCX-5がデビュー! / MAZDA CX-5 Debut(6分31秒)
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CX-5の強みは?開発・企画担当者に聞く / MAZDA CX-5 Debut(3分11秒)
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ポルシェ パナメーラSハイブリッド国際試乗会 / PORSCHE Panamera S Hybrid (4分16秒)
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使いやすさが魅力のルノー ウインド / RENAULT Wind (4分40秒)
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関越道 藤岡バス衝突事故検証に清水和夫が向った
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2013年5月27日月曜日

【清水和夫メールマガジン】第33号 アーカイブス 2012.4.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2012年4月25日 第33号
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東京大学トークショー2010 第2回

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 4月から2010年に行われた東大でのトークショーの様子をお届けしています。前回は電気自動車(EV)が内燃機関車よりも先に実用化されていたという話で終わりました。さあ、今回はどのような話題になるのでしょうか?

清水 そこに石油というものが出てきました。それを燃やして爆発させて、熱エネルギーで機械的な力に変換するエンジンが登場してから一気に普及しましたね。何がすぐれてたのかというと、パワー(トルク)と航続距離でした。これは電気駆動と内燃エンジンの効率を示しています。エンジンは100%のエネルギーを注入したときに、いきなり効率が21%に落ちます。ほとんどは排熱で捨てられるわけですが、その次にオルタネーターで1%のエネルギーが取られます。クラッチは当然熱を持ちますから、そこでもエネルギーロスが発生します。最終的にタイヤで使える力が20%前後になってしまいます。

加納舞(工学部3年) 大分低いですね。

清水 低いです。プリウスやディーゼルでは効率は多少よくなっていますが、一番わかりやすいのは、エンジンというのは温かい。だから燃やして、熱になって、捨てられている。ラジエーターを使うということは、そこでエネルギーを捨てていることに他ならないわけですね。ところが電気のほうは、充電してバッテリーからインバーターを介して、モーターで出力を取ってもまだ66%残っているわけです。これはアウディ社の試算ですが、最終的には65%前後の効率があるということです。20対65ですから効率では電気モーターにかないません。燃料電池が注目されたときに、効率が40%程度までいけるというので、世界中の自動車メーカーが水素燃料電池に目を向けたわけですが、エンジンではこの効率に限界があったわけです。では何故100年前に鉛バッテリーのEVからエンジンを搭載するガソリン車が普及したのか。この論点はしっかりと理解しておきたいと思います。ガソリン車などが使う液体燃料はエネルギー密度が高いのです。リチウムはニッケル水素よりもエネルギー密度が高いと言われていますが、まだとても低いのです。1kgのガソリンと60kgのリチウムイオンのバッテリーが同じぐらいのエネルギー密度です。

飯塚修平(工学部3年) 車に載せて走らせることを考えると、圧倒的にガソリンのほうが効率が優れているのですね。

清水 水素(hydrogen)と書いてありますが、実は水素のエネルギー密度は液体のガソリンよりも高いのです。水素の原子は小さくて、周期表の最初に出てきます。だからなかなか1カ所にためられないのですが、重量あたりに換算するとものすごくたくさんのエネルギーを持っています。ですから水素燃料電池車が注目されているのは電気駆動による効率とエネルギー密度の高さなのです。この両方が優秀なのです。

飯塚 これから水素に移っていけば、ガソリンと同じ質量でも長い距離を走ることができるようになっていくということですか?

清水 そうですね。ただ、水素は気体状態でためるのが難しいのですが、世界標準は700気圧に加圧した高圧水素です。気体エネルギーは、日本ではメタンガスなどを都市ガスで使っていますが、気体ガスを自動車で使うのはあまり慣れていません。500km(東京-京都の距離)を走っていけといったら、プリウスでは約20リッターの燃料で楽に行けます。タンクを入れても重量が20kgぐらいです。ところがリチウムだと約800kgのバッテリーを背負っていかなければいけない。ですから、エネルギー密度が小さいがゆえに、電気自動車の弱点は遠くまで行けないことです。しかし効率は16対62ぐらい
の関係で優れている。つまりそれぞれの技術には得手不得手があります。これをお互いに、いいところをうまくシナジーで補完する考え方がハイブリッドですが、今までのクルマにできなかったことができるようになるというのは、現在の正しい認識です。

飯塚 それぞれのエネルギーにいいところも悪いところもあって、それを組み合わせてお互いに補い合っていくのがハイブリッドの今後だということですね。

清水 もう一つの視点は、化石燃料の代表であるガソリンや軽油はエンジンで燃やしていました。しかし、化石燃料はいつまであるかわからないという枯渇の問題がクローズアップしてきました。二つ目の視点はCO2が温室効果ガスの原因の一つならば、それをどうやって押さえ込むかのか。その一つの答えとして、化石燃料から離脱していくような新しいエネルギーシフトの可能性が論じられているわけです。実はクルマの世界はいろいろなチャレンジが始まっています。電気自動車以外ではバイオマスですね。そのポテンシャルはとても大きいと思います。いま、ブラジルに行くとほとんどのクルマがエンジンにエタノールを使って走っています。

飯塚 トウモロコシか何かですか。

清水 少し前までは食べ物からバイオ燃料を作っていましたが、さすがに食糧の問題を抱えている新興国の人たちもいるので、なるべく食べられないものから作ろうという流れに変わってきています。ブラジルではほとんどの車がエタノールですが、少し前までE85といってガソリンを15%ぐらい残していたのですが、今はE100が主力になりそうです。つまり、ガソリンは要らなくなるのです。少し前まではエタノールだけではと低い温度のときにはエンジンがかかりにくかったのです。ですからブラジルで販売されるホンダ・シビックは0.7リットルだけガソリンタンクを持っています。温度が低くなったら自動的に0.7リットルのガソリンを噴いて、エンジンを始動していたのです。地球は一つですが、地域が変わるとその国々で使われているエネルギーは全く違います。ブラジルは南米大陸の約3分の2の土地を持っていますが、そのまま南下してアルゼンチンに入った瞬間、ほとんどの車が天然ガス自動車になってしまいます。エタノールではなく、その国のエネルギー政策で天然ガスやバイオマスあ選択されているのです。昔、イギリスとフォークランド紛争で戦争をしましたが、そのときに石油輸入制裁を受けました。そうすると石油が入ってこないから、アルゼンチンでは天然ガスで走る車にシフトしていったのです。南アフリカも実はアパルトヘイトのときに石油制裁を受けてガソリンが輸入制限されたので自国で採れる天然ガスから人工的な液体燃料をつくるフィッシャー・トロプッシュ法で作られる合成燃料が利用されていました。ですから国が変わると使うエネルギーは全く変わってしまいます。インドでは、「CNG」とタクシーと三輪車の車体に書いてありますが、デリーの市内の公共タクシーは天然ガスです。天然ガスでエンジンを燃やしているので、非常に排ガスがクリーンで、大気環境がよくなってきました。

加納 結構いろいろな車がエコなのですね。

 EV以外にもエコのやりかたにはさまざまな選択肢があるとわかりました。
次回は身近にあるエコについて考えてみたいと思います。

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【DST#036】アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・クアドリフォリオ・ヴェルデ vs シトロエンDS4スポーツシック(加減速篇) / ALFAROMEO Giulietta Quadrifoglio Verde vs CITROEN DS4 Sport Chic(5分44秒)
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【DST#036】アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・クアドリフォリオ・ヴェルデ vs シトロエンDS4スポーツシック(ハイスピードライディング篇) / ALFAROMEO Giulietta Quadrifoglio Verde vs CITROEN DS4 Sport Chic
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【DST#036】アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・クアドリフォリオ・ヴェルデ vs シトロエンDS4スポーツシック(ダブルレーンチェンジ篇) / ALFAROMEO Giulietta Quadrifoglio Verde vs CITROEN DS4 Sport Chic
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【DST#036】アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・クアドリフォリオ・ヴェルデ vs シトロエンDS4スポーツシック(ウエット旋回ブレーキ篇) / ALFAROMEO Giulietta Quadrifoglio Verde vs CITROEN DS4 Sport Chic
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【DST#035】BMW328iモダン vs メルセデス・ベンツC250アバンギャルド(加減速篇) / BMW 328i Modern vs MERCEDES-BENZ C250 Avantgarde(7分11秒)
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【DST#035】BMW328iモダン vs メルセデス・ベンツC250アバンギャルド(ハイスピードライディング篇) / BMW 328i Modern vs MERCEDES-BENZ C250 Avantgarde(4分56秒)
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【DST#035】BMW328iモダン vs メルセデス・ベンツC250アバンギャルド(ダブルレーンチェンジ篇) / BMW 328i Modern vs MERCEDES-BENZ C250 Avantgarde(3分7秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2012/04/dst035bmw328i_vs_c250_bmw_328i_1.php

【DST#035】BMW328iモダン vs メルセデス・ベンツC250アバンギャルド(旋回ブレーキ篇) / BMW 328i Modern vs MERCEDES-BENZ C250 Avantgarde(5分52秒)
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ジャガー最速のスポーツカーXKR-S サーキット試乗 / JAGUAR XKR-S(6分36秒)
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【世界のモーターショー】ジュネーブショー2012リポート1 / The 82nd Geneva International Motor Show 2012 (9分45秒)
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【世界のモーターショー】ジュネーブショー2012リポート2 / The 82nd Geneva International Motor Show 2012 (5分25秒)
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【世界のモーターショー】ジュネーブショー2012リポート3 / The 82nd Geneva International Motor Show 2012 (6分5秒)
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【世界のモーターショー】ジュネーブショー2012リポート4 / The 82nd Geneva International Motor Show 2012 (7分14秒)
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【世界のモーターショー】ジュネーブショー2012リポート5 / The 82nd Geneva International Motor Show 2012 (7分36秒)
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【世界のモーターショー】ジュネーブショー2012リポート6 / The 82nd Geneva International Motor Show 2012 (5分37秒)
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【ENGINE試乗会2012】フェラーリ 458イタリア / FERRARI 458 ITALIA(5分51秒)
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【ENGINE試乗会2012】マセラティ グラントゥリズモMCストラーレ / MASERATI GRANTURISMO MC STRADALE(3分18秒)
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